2011 Fiscal Year Annual Research Report
配位子周辺部の修飾による特異な反応場の構築と高機能触媒開発
Publicly Offered Research
Project Area | Molecule Activation Directed toward Straightforward Synthesis |
Project/Area Number |
23105523
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤原 哲晶 京都大学, 工学研究科, 助教 (30374698)
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Keywords | 均一系触媒 / 配位子 / デンドリマー / ポリフェニレン / 触媒環境 / ルテニウム / オレフィンメタセシス / エチレングリコール |
Research Abstract |
本申請では「配位子周辺部の修飾による特異な反応場の構築とそれによる高活性触媒の開発」を目的としている.本年度は,ポリフェニレン骨格で覆われた固い反応場を構築し,その反応場における触媒反応性を検証した.ルテニウム錯体を触媒に用いるオレフィンメタセシスは,高い官能基許容性を有することから天然物合成や医薬中間体の合成において幅広く用いられている.Grubbsらが開発したルテニウム錯体が触媒として幅広く利用されているが,この触媒ではルテニウムに配位するトリシクロヘキシルボスフィンが解離して生成する14電子ルテニウム錯体が鍵中間体であることが知られている.この中間体は極めて活性ではあるが同時に木安定でもあり失活は早い。我々は,触媒の遠隔位に剛直な立体を導入することで,1)トリシクロヘキシルホスフィンの解離を促進し触媒活性を向上させる,2)基質の接近を阻害することなく生成した14電子ルテニウム錯体を保護する,ことを狙った.そこで,テトラフェニルフェニル基により修飾した含窒素複素環カルベン配位子を設計し,これらを有するルテニウム-メタセシス触媒を合成した.ジアリルマロン酸ジエチルを基質とした閉環メタセシスをモデル反応として触媒の性能を評価した.低温での反応における経時変化を追跡すると,遠隔位に立体を有する触媒が極めて高い活性を示すことが分かった.これは,テトラフェニルフェニル基によって遠隔位に導入された固い置換基の立体効果によりトリシクロヘキシルボスフィンが解離し,活性種が効率良く発生したととが要因の1つであると考えられる.また,この立体効果により失活が抑制された効果もあると考えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究は、交付申請書に記載した計画通り概ね順調に進行し,新しい配位子の開発とその触媒反応への応用に関する研究成果が得られたため.
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Strategy for Future Research Activity |
現在得られた成果は,既存の反応の効率を大きく改善する結果であった.今後は,より挑戦的な課題として,新しい配位子よる新しい触媒反応の開発を進める必要があると考えている。
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