2011 Fiscal Year Annual Research Report
有機骨格包含型金属触媒によるπポケット反応場創出
Publicly Offered Research
Project Area | Molecule Activation Directed toward Straightforward Synthesis |
Project/Area Number |
23105525
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安田 誠 大阪大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (40273601)
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Keywords | 合成化学 / ルイス酸 / ホウ素 / 触媒 / 構造 |
Research Abstract |
工業的触媒としても多く用いられている金属元素はその金属自身の性質に応じた変換反応に用いられる。有機骨格で金属種を包み込む形状の金属種を想起することで、多くの性状制御要素を一分子に組み込んだ新物質を合成し、それが与える新しい反応場を利用した触媒反応の開発を目的として検討を行い、以下の成果を得た。 1)かご型錯体基幹部分への多種元素導入炭素より大きな元素として、ケイ素およびゲルマニウムを導入し、その置換を様々に変化させた。その結果、緻密に制御されたルイス酸を多様に合成することに成功した。配位子解離速度、量子化学計算により緻密に物性を評価することに成功した。 2)金属部位検討基幹部分の立体的サイズアップが実現でき、ホウ素よりも大きな金属として、アルミニウムを導入した。その結果、多核錯体がえられ、ルイス酸触媒としてシリルエノラートによるアルドール反応に用いることに成功した。また、光物性の評価を行い、予想よりも大きな長波長シフトの発現と、大きなストークスシフトを確認した。 3)基幹部分にπ電子効果誘起部位の導入基幹部分に電子効果誘起部位を導入し、遠隔電子効果による金属性状制御を行った。ベンゼン環を基幹部分に導入し、上部にアンチモンを金属種として導入した。これは、現在ルイス酸性を示すことはなく、触媒としての機能は発現していない。しかし、得意な光物性を示し、今後は光吸収型触媒としての応用を目指す端緒となる結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した3つの課題のすべてに着手し、それぞれに対してある程度の学術的興味の高い結果を得られることができた。π電子有機部位を導入したかご型錯体に関しては、まだルイス酸触媒としての機能の発現が見られない点が、唯一の課題として残るが、今後解決の可能性は高く、その意味で順調といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
おおむね順調に研究計画が進行しているので、本来の計画に従って、研究を遂行する。初年度達成できなかったπ電子有機部位導入の錯体に関しては、置換基の工夫等により、その実現を急ぐ。 昨年度末に、π電子含有置換基を有する錯体が、従来にない芳香族選択性を示すことが見いだされたことから、今後はその開発も中心にしていく計画を特に進める。
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