2012 Fiscal Year Annual Research Report
アルケンへの酸素求核剤の触媒的付加反応実現に向けた反応活性種の創出
Publicly Offered Research
Project Area | Molecule Activation Directed toward Straightforward Synthesis |
Project/Area Number |
23105528
|
Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
浦 康之 奈良女子大学, 自然科学系, 准教授 (40335196)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2013-03-31
|
Keywords | 触媒的付加反応 / アルケン / 酸素求核剤 / パラジウム錯体 / 白金錯体 / プロトノリシス / SNS配位子 / SCS配位子 |
Outline of Annual Research Achievements |
遷移金属錯体触媒を用いたアルケンへの酸素求核剤の不斉付加反応が実現できれば,光学活性アルコールやエーテルなどの,副生物を排出しないシンプルかつ革新的な環境低負荷型合成法となる。本研究では,配位アルケンに対する求核剤の攻撃と,それに続くM-C(sp3)結合のプロトノリシスを経る反応機構を作業仮説として,SNS(硫黄-窒素-硫黄)またはSCS(硫黄-炭素-硫黄)三座配位子を有するPdまたはPt錯体を触媒に用い,アルケンへの酸素求核剤の分子内付加反応について検討した。 M-C(sp3)結合のプロトノリシスの促進を期待して,両端にプロトン受容部位を持つSNSまたはSCS三座配位子を有するPdおよびPt錯体を合成した。これらの錯体を用い,あるいは系中で発生させ,アルケノールの分子内付加反応を試みたところ,SNS-PdおよびSCS-Pd触媒系では,基質は完全に転化するものの環化体の収率は低く,二重結合の内部異性化体も一定量生成した。一方,SNS-Pt触媒系では,添加剤としてAgOTfを用いると高収率で選択的に環化体を与えることが明らかとなった。AgOTfに代えてAgBF4を用いた場合には,アルケノールの転化率,環化体の収率共に大きく低下した。 また,Pd-C(sp3)結合のプロトノリシスの検討過程において,SNS-ベンジルPd錯体と分子状酸素との反応が塩化物イオンの存在により顕著に加速されることを見出した。重アセトニトリル溶媒中,AIBN存在下においてベンジルPd錯体を酸素(1気圧)と40 ℃で反応させたところ2時間後でも殆ど変化はなかったが,同反応を1当量のHCl存在下で行うとBnOOHが高収率で得られた。他の結果も総合すると,塩化物イオンのPdへの配位が,ベンジルPd錯体と分子状酸素からのベンジルペルオキソPd錯体の生成を加速することが強く示唆された。
|
Research Progress Status |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|