2011 Fiscal Year Annual Research Report
反応系中で発生する活性種による毒性試薬の代替とその利用
Publicly Offered Research
Project Area | Molecule Activation Directed toward Straightforward Synthesis |
Project/Area Number |
23105535
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
濱崎 昭行 九州大学, 理学研究院, 助教 (00515174)
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Keywords | 合成化学 / ニッケルカルボニル / 代替触媒 |
Research Abstract |
本研究では、金属酸化物担持金ナノ粒子を、金属カルボニル化合物の安全かつ取り扱い容易な代替試薬として利用することを目的としている。具体的には、ニッケル担持金ナノ粒子を、高い毒性を有するニッケルカルボニルの代替として有機反応に利用する有機合成的な部分と、触媒活性を表面科学的に評価する部分から構成される研究である。 研究計画では、平成23年度には主に高活性触媒の調製法と、調製した触媒の表面特性について検討を行う予定であった。ハロゲン化アリールのアルコキシカルボニル化反応の結果を以て触媒活性の評価を行ったところ、空気焼成したものは全く活性を示さないのに対し、水素気流下で還元したものは非常に高い触媒活性を有することを見いだした。また、金を担持していない市販のニッケルや酸化ニッケルを同様の方法で還元処理しても、全く触媒活性を示さないという興味深い結果も得られた。この結果は、反応系中で効率的に反応活性種が生成するためには金の担持が不可欠であり、さらにわずかな調製法の違いが触媒活性に大きな影響を与えることを示すものである。このようにして調製法を確立した触媒について、X線光電子分光やX線吸収微細構造解析などの物理化学的測定手法を用いて、表面特性および構造に関して検討したところ、水素還元処理を行ったものでは金とニッケル担体が合金化していることを示す結果が得られた。 以上のように、ニッケル担持金ナノ粒子を触媒とした有機合成反応と触媒の表面特性について一定の結果が得られ、当初の研究計画通り推進することができた。今後は金-ニッケル担体の合金化が、触媒活性に与える影響について詳細に検討を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実施計画では、平成23年度は触媒の調製法およびその表面特性についての検討を予定していた。触媒調製法として、空気焼成ではなく水素気流下加熱処理を行うと、金とニッケル担体の合金化が促進されることを見いだし、有機反応でも最も高い触媒活性を示すことがわかった。また、Spring-8でX線吸収微細構造解析(XAFS)の測定を行い、全体として当初の計画通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目となる平成24年度には、ニソケル担持金ナノ粒子触媒を、不活性結合の直截変換を含む新規反応へと適用していく予定である。触媒の表面特性については、ニッケル担持金ナノ粒子のみが非常に良好な結果を与え、それ以外のニッケル化合物ではほとんど反応が進行しなかった理由について、さらに検討を進める。
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Research Products
(8 results)