2011 Fiscal Year Annual Research Report
不活性結合活性化を可能とする高原子価カチオン性鉄錯体の開発
Publicly Offered Research
Project Area | Molecule Activation Directed toward Straightforward Synthesis |
Project/Area Number |
23105536
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
砂田 祐輔 九州大学, 先導物質化学研究所, 助教 (70403988)
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Keywords | 鉄 / 高原子価錯体 / キレート型ケイ素配位子 / 不活性結合活性化 / 配位不飽和錯体 / 物質変換 |
Research Abstract |
遷移金属錯体を用いた単純アルカンやアレーンの直接的官能基化の開発は、究極的な直戴的物質変換を可能とするため、現在最も注目される課題である。その最も重要な素反応過程として、遷移金属による不活性なC-H結合の活性化過程が挙げられる。近年、Pd,Ptなどの貴金属錯体を用いた研究が活発に行われているが、次世代型の安価で低環境負荷な反応の実現に向けて、戦略元素である鉄によるC-H結合活性化反応の開発が急務である。本研究課題では、キレート型ケイ素配位子を持つ高反応性鉄錯体の構築と、C-H結合をはじめとする不活性結合活性化への展開を行っている。 本年度は、キレート型ケイ素配位子として、安定・強固な錯体骨格を与える1,2-bis(dimethylsilyl)benzeneに注目し、これを有する反応性鉄錯体の構築と、areneのC-H結合活性化を伴う変換反応への応用を行った。まず、配向基を持つareneである1-phenylpyrazoleを有する鉄錯体Fe(Si)_2(CO)_2(phenylpyrazole)_2((Si)_2=dimethylsllylbenzene)を合成し、この錯体とエチレンとの反応を検討したところ、Ph基のオルト位のC-H結合アルケニル化と引き続く二重シリル化によるdisilacarbocycle骨格を持つ生成物が得られた。他の配向基を持つareneを用いた場合でも同様の反応が進行する。この反応は、高い電子供与性と強いトランス影響を示すキレート型ケイ素配位子を導入したことで生成した高反応性鉄錯体により達成されたものであり、次世代型の安価で低環境負荷な直載的有機変換反応の実現に向けた重要な基盤となるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、1)キレート型ケイ素配位子を持つ配位不飽和性を示す鉄錯体、2)キレート型ケイ素配位子を持つ高原子価鉄錯体、の2種の錯体の合成に成功した。さらに1)で開発した錯体を用いることで、不活性な芳香族C-H結合活性化を伴う官能基化を量論反応ながら達成した。これらの成果より、本研究課題の目的である不活性結合活性化を可能にする鉄錯体の設計指針の確立がほぼ達成されたことより、本研究は概ね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、本年度に開発した上述の1)・2)の錯体を基盤として、鉄錯体による不活性結合活性化を経由する変換反応の開発を行う。具体的には、1)の錯体においては、既に量論的な芳香族C-H結合官能基化に成功していることから、錯体構造の最適化を通して本反応の触媒化を目指す。一方、2)の錯体については、より本研究課題の目的に即したカチオン性の高原子価錯体への変換を、鉄錯体上の配位子の引き抜き反応などにより達成し、得られた高原子価カチオン性鉄錯体による不活性結合活性化を達成する。
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Research Products
(4 results)