2012 Fiscal Year Annual Research Report
内部アルキンからの二置換ビニリデンの直截合成法開発と新規分子変換触媒への応用
Publicly Offered Research
Project Area | Molecule Activation Directed toward Straightforward Synthesis |
Project/Area Number |
23105543
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
武藤 雄一郎 東京理科大学, 理学部, 助教 (50453676)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 置換基効果 / 求核転位 / 遷移状態 |
Outline of Annual Research Achievements |
置換基効果と機構の解明を目指し、量子化学的手法でも反応経路を追跡した(お茶大鷹野研との共同研究)。PhC≡CC6H4OMe-pの場合はR1 = H, R2 = OMe、PhC≡CC6H4CO2Et-pの場合はR1 = CO2Et, R2 = Hとなるdirect 1,2-転位が最も有力な経路となり、実験結果をよく再現した。NBO解析からいずれの場合でも移動する炭素(C3)の電荷は、反応を通して負の値をとりつづけ、移動先(受け入れ先炭素、C1)では、遷移状態への進行に伴い電荷は正の方向に増加し、遷移状態から生成物への進行に伴い負になる。この電荷変化は、本反応が求核転位であることを示唆している。移動する芳香環(C3を含む芳香環)のNBO電荷の和も正であり、その絶対値は遷移状態において最も大きくなる。この結果からも本反応が求核的に進行していることが示唆された。さらに遷移状態におけるdonor-acceptor解析の結果は、遷移状態で電子を供与するのは、移動するC2#8211;C3結合であることを示し、逆の電荷移動、すなわち移動先のC1炭素から移動するC3炭素への電荷移動に相当する軌道相互作用(求電子転位)は見られなかった。従って本転位は、電子吸引性置換基を持つ芳香環(求核性が低い)ほど転位能が高いが、求核的に進行することが明らかになった。 従来の求核転位では、転位する基が電子を供与しやすいとき、すなわち遷移状態において移動する炭素上に正電荷が発生しやすいほど、転位能が上がると考えられてきたが、本計算では、転位する基の電子供与力よりもむしろ遷移状態において発生する転位先のC1炭素上の正電荷(形式的には、もとは金属上にあった電荷)を安定化する効果のほうが重要であるといえる。その結果として、相対的に電子不足な置換基の転位能が高くなる。
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Research Progress Status |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(11 results)