2011 Fiscal Year Annual Research Report
超新星爆発における磁気流体波の反射増幅効果の研究
Publicly Offered Research
Project Area | Research on the Emergence of Hierarchical Structure of Matter by Bridging Particle, Nuclear and Astrophysics in Computational Science |
Project/Area Number |
23105703
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
花輪 知幸 千葉大学, 先進科学センター, 教授 (50172953)
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Keywords | 宇宙物理 / 理論天文学 / 流体 |
Research Abstract |
本年度は衝撃波のシミュレーションに現れる数値不安定と、ニュートリノ輸送の計算法について研究を行った。 前者の研究では従来の計算手法で1次元の平面衝撃波をシミュレーションした場合に現れる数値不安定について調べた。衝撃波を通過して亜音速になった流れが、重力場によりいったん減速されたのちに加速され、超音速となる定常流を半解析的に求め、これの数値シミュレーション結果の誤差を求めた。衝撃波面に対して傾いた座標(数値格子)を用いると、波面に沿った報告に偽の準周期構造が現れる。この偽の構造の波長は波面と座標軸の傾きに依り決まる。数値シミュレーションでは圧力勾配を方向ごとの偏微分から求めるが、衝撃波の近傍では圧力が急激に変化するため精度が下がる。このために圧力勾配が本来の波面と垂直にならないという問題が生じることを明らかにした。また速度勾配も成分ごとに計算するため、衝撃波でのエントロピー発生を過小評価することも分かった。衝撃波でのエントロピー発生量は速度差の約3乗に比例するので、方向別に分離して計算すると低目になる。現在、この問題の解決策を検討中である。 後者の研究ではモーメント法によるニュートリノ輸送を検討した。モーメント法ではエネルギー密度Eだけでなくエネルギー流束Fも独立に求めるので、従来の多次元計算で用いられている拡散近似より、光学的に薄い外層で大きな改善が期待できる。モーメント法の方程式は流体力学方程式と似ているため、数値流体の方法を援用して解かれることが多い。この方法では波の伝播速度を元に計算を進めるが、輻射場は互いに衝突しない光子の集まりなのでその変化は波の伝播ではない。本研究ではEとFから輻射場を再構成し、そこから時間進化を求める方法を開発した。この方法は少ない計算量で、適正な解を与える。芳香性の強い閃光の場合、従来の方法は誤った解を与えることも明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請時点では大規模数値シミュレーションで協力する予定であった若手班究者が、本人の自己都合により研究を継続できない立場になったため。
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Strategy for Future Research Activity |
ニュートリノ輸送の取り扱いについて大きな改善が望める期待が高まったことを考慮し、ニュートリノ照射による加熱・冷却を考慮した磁気流体波反射増幅のシミュレーション方法に研究の重点を移す。
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