2011 Fiscal Year Annual Research Report
Rプロセス元素の起源の超新星爆発シミュレーションに基づく解明
Publicly Offered Research
Project Area | Research on the Emergence of Hierarchical Structure of Matter by Bridging Particle, Nuclear and Astrophysics in Computational Science |
Project/Area Number |
23105705
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野本 憲一 東京大学, 数物連携宇宙研究機構, 特任教授 (90110676)
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Keywords | 超新星 / 中性子星 / 元素合成 / rプロセス / ニュートリノ |
Research Abstract |
rプロセス元素の起源の解明は、宇宙物理学における現在の最重要課題の一つとして位置づけられている。現在、超新星爆発の際のニュートリノ加熱物質流(ニュートリノ風)がrプロセス元素の起源の最有力候補と考えられている。しかしながら、これまでのニュートリノ風の研究では、rプロセスに必要な物理条件が実現されていなかった。本研究では、超新星および中性子星合体のニュートリノ風の半解析解および数値流体シミュレーションの結果に原子核反応ネットワーク計算を適用するという数値計算を遂行し、その結果を太陽系や金属欠乏星のrプロセス組成と比較することにより、rプロセス元素の起源を解明することを目標とした。 平成23年度は、太陽の8-10倍の質量を持つ星が電子捕獲により重力崩壊するモデルを中心的に研究した。研究協力者の努力もあり、2次元の超新星爆発モデルの計算を実行することができた。それにより、中性子星の表面でのニュートリノ加熱による対流が重要であり、中性子過剰度の非一様性が1次元モデルより大きいことを示すことができた。その効果によりrプロセス元素がより多く生成されることを示唆することができた。太陽系のrプロセス元素の組成と比較すると、まだweak rプロセス元素の生成にとどまっている。しかしながら、3次元モデルでは、対流の効果がより大きく、strong rプロセス元素の生成も可能となる示唆を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、まず1次元の超新星爆発モデルに基づいて、どのようなrプロセス元素の合成が進行するかを調べることが目標であった。実際には研究協力者の努力もあって、2次元の超新星爆発モデルの計算を実行することができた。それにより、太陽の8-10倍の質量を持つ星の爆発において、中性子過剰度の非一様性が1次元モデルより大きいことが示され、その効果によりrプロセス元素をより多く生成されることを示唆することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
超新星爆発モデルを2次元からさらに3次元へと拡張することが重要である。これは、中性子過剰度の非一様性がより大きくなることが期待され、その結果、rプロセスがより効果的に進行することが期待できるからである。同様の効果は中性子星の合体の場合にも重要であろう。また、中性子星の合体過程において、ニュートリノの輸送を取り入れることが重要と思われる。これは、rプロセスの進行を弱める効果を持つ可能性があるからである。
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