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2011 Fiscal Year Annual Research Report

中性子電気双極子モーメントの格子計算

Publicly Offered Research

Project AreaResearch on the Emergence of Hierarchical Structure of Matter by Bridging Particle, Nuclear and Astrophysics in Computational Science
Project/Area Number 23105714
Research InstitutionThe Institute of Physical and Chemical Research

Principal Investigator

新谷 栄悟  独立行政法人理化学研究所, 計算物理研究グループ, 理研BNLセンター研究員 (70447225)

Keywords格子QCD / 標準模型 / 素粒子論
Research Abstract

本年度では格子QCDの手法を用いて中性子の電気双極子モーメント(NEDM)の非摂動的計算を試みた。この物理量は長年素粒子標準模型において問題視されているθ項の存在に関して直接的に観測可能であるという点で重要である。現在NEDM自体はナイーブなモデル計算から求められているが、厳密な理論計算におけるNEDMを求めておくことは将来の実験および標準模型を超えた新しい物理の理解に対して重要なヒントを与えうる。本研究では、格子QCDと呼ばれる数値計算から強い相互作用およびθ項を非摂動的に取り入れた第一原理計算によりNEDMの値を数値的に求めて従来のモデル計算との比較を目的とする。この成果によって、これまで知られているNEDMが何らかの系統誤差を含んでいるかを明確にすることでこの値自体の正当性を確認する上で重要である。本年度の計算ではドメインウォールフェルミオンと呼ばれる格子上でカイラル対称性をコントロールすることが可能なフェルミオン形式を用いて、格子空間上で核子間に電磁カレントを含んだ3点関数を数値的に求めて、ハドロン効果を含んだ行列要素を抜き出した。数値計算においてはクォーク質量およびゲージ場の結合定数の二つの値が理論パラメータである。理研BNL研究センター所属のメンバーを含んだRBRCグループによって生成された動的クォークを含んだゲージ配位上で上記の計算を行った。NEDMの計算自体、理論的に有意義な結果を得るには高統計が求められるが、計算時間の不足から統計的に意味のある値を得ることはできなかった。しかしながら、格子QCDにおけるアルゴリズム開発の結果、計算時間を大幅に減らしながら高統計の物理結果を得ることができるようになったため、来年度においてこの新しいアルゴリズムを用いて計算精度を高めていく計画である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

これまでの研究結果から、この物理量自体従来の方法で計算精度を高めることは困難であると予想していた。今年度は計画通り計算アルゴリズムの改良が順調に進んだため、計算時間を大幅に減らすことに成功したため、おおむね計画通りといえる。

Strategy for Future Research Activity

今後の研究では今年度の新しいアルゴリズムを用いた計算を実行する計画である。この改良によって計算時間を従来の5倍以上に高めることができるため、統計精度の向上が期待できる。この計算においては計算機性能よりもディスクアクセス能力に依るところが大きいため、大型計算機の利用申請では大容量サーバを所有する機関を選定する必要がある。理化学研究所が管理運営しているRICCセンターに来年度申請する予定である。

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Published: 2013-06-26  

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