2012 Fiscal Year Annual Research Report
中性子電気双極子モーメントの格子計算
Publicly Offered Research
Project Area | Research on the Emergence of Hierarchical Structure of Matter by Bridging Particle, Nuclear and Astrophysics in Computational Science |
Project/Area Number |
23105714
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
新谷 栄悟 独立行政法人理化学研究所, 計算物理研究グループ, 理研BNLセンター研究員 (70447225)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 素粒子理論 / 格子QCD |
Outline of Annual Research Achievements |
格子量子色力学(格子QCD)を用いた中性子電気双極子モーメント(中性子EDM)の数値的評価を行った。本研究ではQCD作用にCP対称性を破るθ項を入れた経路積分を第一原理から実行することで、標準模型の枠内において中性子EDMに含まれる非摂動的寄与の評価を行う。この研究成果によって格子QCDにおける中性子EDMの計算法の確立と、θ項のみならず、高エネルギースケールにおけるCP対称性の破れを生じさせる項を取り入れた新しい物理モデルへのアプローチに向けた基礎的研究となる。 格子QCDではモンテカルロ積分法を用いた数値的解析を実行する。その計算における信頼度を上げるためには大規模な数値計算が必要となるが、特に本研究ではモンテカルロ計算における統計誤差を効率よく抑えることが鍵である。これまでの経験から、統計精度の向上と格子化に伴う系統誤差を同時に抑えることが信頼性の高い結果を得るためには必要であることから、ここではドメインウォールフェルミオン形式をもとにした高精度の数値計算を実行することにした。ドメインウォールフェルミオンは計算コストが必要となる分、大きな格子化誤差を自動的に回避することができる。計画に従ってまず計算アルゴリズムの大幅な改良を行った。その結果、従来より5倍以上の効率化を実現することができた。このアルゴリズムをもとにしたモンテカルロ計算を中性子EDMに実装した結果、π中間子質量として300MeV付近の中性子EDMの統計的に有意義な結果を得ることができた。本計算ではアップ・ダウン・ストレンジクォークを動的に含んだゲージ配位上における中性子EDM計算の初めての試みであり、物理点に最も近い領域における値である。本研究はアルゴリズムの効率化による計算コストの大幅な削減が実現できたことによる成果である。
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Research Progress Status |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(8 results)
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[Presentation] Nucleon EDM in lattice QCD2013
Author(s)
新谷栄悟
Organizer
CP VIOLATION IN ELEMENTARY PARTICLES AND COMPOSITE SYSTEMS
Place of Presentation
Fountain Hotel, Mahabaleshwar, Maharashtra, India
Year and Date
2013-02-07 – 2013-02-23
Invited
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