2011 Fiscal Year Annual Research Report
ホログラフィーと核力の解析的導出
Publicly Offered Research
Project Area | Research on the Emergence of Hierarchical Structure of Matter by Bridging Particle, Nuclear and Astrophysics in Computational Science |
Project/Area Number |
23105716
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
橋本 幸士 独立行政法人理化学研究所, 橋本数理物理学研究室, 准主任研究員 (80345074)
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Keywords | 超弦理論 / 核力 / QCD |
Research Abstract |
QCDは低エネルギーで強結合であり、通常の場の理論の摂動的手法を用いて解析することが出来ないため、超弦理論のホログラフィー原理、もしくはゲージ重力対応、の効力が期待される。本研究課題では、低エネルギーQCDの代表的物理量である、核子間のポテンシャルを解析的にQCDから導出することが目標である、今年度の研究成果は、直接的なものは出版論文としては無く、その周辺部分の基礎固めの出版論文が主である。直接的なものとしては、現在研究が進捗しているものとして、フレーバー数が2ではなく多い場合の核力(バリオン間力)の導出を進めている。これは、格子ゲージ理論の結果において、あるセクターでは近距離斥力が消えるという目覚ましい結果が報告されており、それを超弦理論は再現できるのかという問題である。技術的にはこの問題へのアプローチは既に完了しており、現在論文を準備中である。一方、周辺分野の研究成果は論文として発表しており、その中では、核子多体系の典型的高価である原子核の生成、また、重イオン衝突の際の素早い熱化現象の解明、などを、超弦理論の数理的手法を用いて行った。核力の多フレーバーへの拡張については、立教大学の招待講演で概要は発表しており、技術的な問題が無いこと、また、特定のフレーバーセクターについては超弦理論の計算に置いてもやはり斥力新が消える場合があるようであること、を報告した。また、他の研究会においても、核力がQCDから超弦理論を用いて導出されうることのレビュー講演などを行い、現状の問題点の確認と今後の進展の方向性について活発に議論を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
バリオン間力を超弦理論の数理を用いてラージNのQCDから導出する本研究課題に関して、特にフレーバーの数が多い場合のバリオン間力を計算することに技術的な問題は無く、現在論文を準備中であるが、出版まで到達していないので、やや当初の予定からは遅れていると言わざるを得ない。これは、準備中の論文が、他分野の読者を想定したレビュー部分を大きく含むために進捗が遅れている面もあるためである。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは現在準備中の論文を出版することが大前提であるが、これは、24年度初旬には完了できる見込みである。研究成果が出版された後は、遠距離核力について、近距離と統一的な記述があるかどうかを研究することを予定している。様々なフレーバーに置ける核力の一般的様相が分かることも研究進捗に関連するため、まずは準備中の論文を出版することから始める。
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Research Products
(13 results)