2011 Fiscal Year Annual Research Report
テンソル力に適した巨大次元殻模型による中性子過剰ハイパー核の構造研究
Publicly Offered Research
Project Area | Research on the Emergence of Hierarchical Structure of Matter by Bridging Particle, Nuclear and Astrophysics in Computational Science |
Project/Area Number |
23105717
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Research Institution | Nippon Institute of Technology |
Principal Investigator |
梅谷 篤史 日本工業大学, 工学部, 講師 (20454580)
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Keywords | ハイパー核 / 中性子過剰 / テンソル力 |
Research Abstract |
本研究課題では2カ年の期間内に、ラムダハイパー核のヘリウム同位体の構造計算を行い、その構造を系統的に解析すること、ラムダ・シグマ結合相互作用が中性子数の増加に伴いどのように変化するのかを解明することを目的としています。そのために、バリオン間相互作用の中で重要かつ従来の模型空間では直接的な扱いが難しい「テンソル力」に着目し、ハイパー核にも適用できる、テンソル力の扱いに特化した巨大次元殻模型(TOSM法)の計算コードの開発を行ってきました。 本研究課題を遂行するためにはラムダ・シグマ結合相互作用をあらわに取り入れた計算が必要ですが、計算コード開発を効率よく進めるため、当該年度の実施計画においては、ラムダ・シグマ結合相互作用が繰り込まれているものとし、あらわに現れないように簡略化した計算を行う予定でした。しかしながら、計算コード開発が予定より早く進んだため、ラムダ・シグマ結合相互作用をあらわに取り入れた計算に着手しました。 当該年度終了時の進捗状況は、ラムダ・シグマ結合相互作用をあらわに取り入れたTOSM法により、ラムダハイパー核のうち質量数4の水素および質量数5のヘリウムの各状態のエネルギー準位の計算結果が出始めている段階です。これらの結果はまだ実験値を十分に再現するには至っていないものの、ラムダ・シグマ結合相互作用の中のテンソル力の成分が重要であることを定性的に示しており、すでに行われている精密少数計算と同様の傾向となっています。 定量的な議論が可能になるところまでTOSM法の計算コード開発が進めば、質量数を変化させながら各同位体の構造を系統的に解析できるようになります。現時点では、その足がかりとなる成果が得られています。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2カ年目に積極的に活用する予定の計算コードの開発にまで着手できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
開発した計算コードによる計算結果は、現段階では実験値を十分に再現するには至っていません。この問題点は、2カ年目に予定している研究を推進する前に、原因を解明する必要があります。通常核に対するTOSM法を進めている連携研究者との議論により原因解明にあたります。原因解明後は中性子過剰な領域へと計算を発展させ、質量数を変化させながら各同位体の構造を系統的に解析します。また、ラムダ・シグマ結合相互作用が中性子数の増加に伴ってどのように変化するのかを、定量的に明らかにします。
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Research Products
(5 results)