2011 Fiscal Year Annual Research Report
大気海洋間の運動量交換過程に対する波浪とエネルギー散逸の影響に関する研究
Publicly Offered Research
Project Area | Multi-scale air-sea interaction under the East-Asian monsoon: A "hot spot" in the climate system |
Project/Area Number |
23106503
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
根田 昌典 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教 (10273434)
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Keywords | 海洋混合層 / 波浪 / 海面乱流フラックス / 海洋乱流観測 / XCP / 波浪ブイ / 大気海洋相互作用 |
Research Abstract |
本研究の目的は、外洋域での海面熱・運動量交換量の直接観測,波浪の観測,海洋中の運動工ネルギー散逸量の観測に基づいて,海面における運動量交換過程における風波とうねりの影響と、その海洋混合層へのエネルギー注入量への影響の評価を行うことである. この計画に基づいて、今年度は予備的な観測とこれまでに取得したデータから、まず海面フラックスの直接観測手法の改善を行った。海洋研究開発機構研究船淡青丸の2009年度第21次観測航海(10月)において黒潮続流北海域において実施した海上風などの高解像度(10Hz)精密観測データに基づいて、船舶上における渦相関法を用いた乱流フラックス直接観測の手法について再検討した。特に、船体の影響で接地境界層が屈折する影響の修正方法を再検討し、運動量フラックスは平均で60%程度の精度改善が期待できることが分かった。同時に実施した海洋乱流観測データとともに、海面の乱流エネルギー注入量と海洋の乱流エネルギーとの関係を調べたところ、海洋のMixing Layerは、総観規模スケールでの海面からの乱流エネルギーに対応して、従来の混合層(Mixed Layer)の基準である密度躍層まで達するが、通常は混合の活発な領域は海面付近に限られることが分かった。密度均一層内に塩分・温度成層があるような場合には、従来の知見と異なり、乱流エネルギー収支における浮力項の鉛直変化の影響を無視できないことが分かった。今年度はさらに、波浪観測ブイと投棄式乱流計(XCP)を用いた予備的実験を行った。XCP観測では、従来型の乱流観測機器との同時観測を試み、残念ながら、観測条件の悪化のために十分なデータは得られなかったものの、XCPを用いた観測データから海洋内部の散逸率を取得するめどをつけることができた。外洋において波浪観測ブイによって風波とうねりのスペクトルを分離可能であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通りに、海洋混合層の乱流エネルギー収支の評価のためにまず海面の乱流エネルギーインプットの正確な評価のための観測手法改善について解析し、手法改善を行うことに成功した。また、波浪ブイを用いた波浪の観測を行い、海面のエネルギー交換に対する波浪の影響を評価するための予備的な知見を得た。XCPによる乱流観測と波浪ブイによる予備的観測を実施し、特に、うねりと風波のスペクトルの分離が可能であることを確かめられたのは重要な成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で必ず実施する必要があるのは波浪観測と乱流観測の同時観測である。そのためには実施航海の確保が最大の課題であり、次年度の計画ではそのための方策を早急に決める必要がある。大気の乱流エネルギーと波浪との関係については未だ十分な観測データが得られていないため、その取得を最重要課題とする。海洋中の乱流エネルギー評価についてはその手法の信頼性の検討を行い、海洋混合層変動に関わるエネルギー収支の評価を行う。
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[Presentation] OCEAN MIXING LAYER VARIATION AS INDICATED BY THE MEASUREMENT OF THE DISSIPATION RATE IN THE KUROSHIO EXTENTION REGIONY¥2012
Author(s)
M.Konda, T.Ono, Y.Karino, K.Uehara, K.Kutsuwada, T.Kameda, M.Hasujima, O.Tsukamoto, F.Kondo, K.Iwasaka
Organizer
Ocean Sciences Meeting, AGU
Place of Presentation
Salt Lake City, USA
Year and Date
20120220-20120224
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