2011 Fiscal Year Annual Research Report
成熟期の台風の強度・構造変化と海洋との相互作用の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Multi-scale air-sea interaction under the East-Asian monsoon: A "hot spot" in the climate system |
Project/Area Number |
23106505
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Research Institution | Japan, Meteorological Research Institute |
Principal Investigator |
和田 章義 気象庁気象研究所, 台風研究部, 主任研究官 (20354475)
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Keywords | 台風 / 成熟期 / 炭素系化学平衡 / 大気環境場 / 海洋環境場 / 台風海洋相互作用 / 非静力学大気波浪海洋結合モデル |
Research Abstract |
台風Choi-wan(2009)通過前後に生じる大気、海洋でのpCO2及びCO2フラックスの変動について、水平解像度6kmの大気波浪海洋結合モデルにより数値実験を実施した。Bond et al.(2011)で観測された、KEOブイ位置におけるChoi-wan通過時のpCO2の差(海洋-大気)の急激な増加は再現されなかったものの、モデル実験結果から積分時間とともにpCO2の差は増加し、台風近傍及び進行方向右側で、海洋から大気へ突発的にCO2フラックスの増加が見られた。台風Choi-wan(2009)について、異なる大気海洋初期値及び水平解像度3,6,12,24kmの設定でそれぞれ大気波浪海洋結合モデルにより数値実験を実施し、水平解像度、大気海洋初期値が中心気圧と進路の再現性に与える影響について調査した。特に台風強度(中心気圧)に直接関連する台風構造の再現性に関して、高度1.5kmでの渦位分布及び1時間降水量分布に着目すると、水平解像度6kmの全球客観解析データを用いた数値シミュレーション結果のみ、TRMM/TMIの降水分布から見積もられる直径約100kmの台風の眼のサイズを良好に再現していた。一方で他の数値シミュレーション結果は台風の眼のサイズを過大にシミュレーションしていた。この他台風渦の理想実験を実施し、台風渦が成熟期に達した後に海洋モデルを結合した計算を行った結果、海面水温低下により渦位リングは弱まり、またその直径は拡大した。しかしながら海面水温の低下が温帯低気圧的な構造への変化をもたらすことはなく、また気象庁大気再解析データによる解析から、温帯低気圧化には必ずしも海面水温の値、温度勾配が直接的に寄与していないことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の1つの目的である2009年台風Choi-wanの海洋応答と台風Choi-wanへの影響について、非静力学大気波浪海洋結合モデルによる数値シミュレーション結果を査読付きの刊行物にまとめることができた。本成果はまた、次年度(最終年度)に実施する台風Choi-wan(2009)通過前後に生じる大気、海洋でのpCO2及びCO2フラックスの変動解明に向けた礎となる。
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Strategy for Future Research Activity |
台風Choi-wan(2009)通過前後に生じる大気、海洋でのpCO2及びCO2フラックスの変動に関して、数値シミュレーション結果を用いて研究を継続して実施する。また局所的な海水温変動が成熟期の台風に対して与える効果について、研究を継続して実施する。さらに、2011年に日本に上陸した台風Ma-on、Talas及びRokeについても数値シミュレーションを実施する。数値シミュレーション結果を検証するために、衛星データ等を積極的に活用する。
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Research Products
(5 results)