2011 Fiscal Year Annual Research Report
単一分子鎖の直接観察によって明らかにする高分子ソフト界面の物性
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular Soft-Interface Science |
Project/Area Number |
23106713
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
青木 裕之 京都大学, 先端医工学研究ユニット, 准教授 (90343235)
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Keywords | 1分子計測(SMD) / 単一高分子鎖 / 表面・界面 / 薄膜 / 蛍光顕微鏡 |
Research Abstract |
ソフト界面を構成する高分子材料について、その構造を単一分子レベルで評価するために超解像光学顕微鏡システムの導入を行った。超解像光学顕微鏡は、試料にラベルされた色素分子を逐次観察することで、個々の分子の位置座標を高精度で取得することで画像構成を行うものである。超解像顕微鏡では観察のために長時間の積算を必要とするため、その間のサンプルのドリフトが問題となる。そのため顕微鏡本体の設計を見直し、サンプルステージを熱膨張の小さなスーパーインバー材によって構成するなどして安定性を向上した。また顕微鏡フォーカス部にステッピングモーターによる自動制御システムを導入することで焦点位置の補正機構も導入した。これにより長時間にわたるドリフトを最小にすることができたものの、数10nm以下に抑制することは不可能であった。そのため、観察試料中に導入したマーカーをあわせて測定することでドリフト量を高精度に計測し、測定画像に対して補正を与えることにした。マーカーとして使用する化合物について検討したところ、観察中に明滅せず、長時間にわたって槌色することのない金ナノ粒子が最も適切であった。マーカーにはこのような安定性の他、サンプルである単一高分子鎖の測定条件下におけるダイナミックレンジにあった発光強度を示すことも重要である。金ナノ粒子の明るさは粒径に依存しており、本研究で蛍光ラベルに使用しているローダミン誘導体色素に対しては、粒径100nmの金粒子が最も適切であることが分かった。これらのシステムの最適化の結果、空間分解能15nmで単一高分子鎖のコンホメーションを計測することが可能になった。また三次元計測も可能であり、表面・界面近傍の高分子鎖を直接観察することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画で設定した目標を達成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
おおむね研究計画通り進捗していることから、当初の計画に従って研究を遂行する予定である。今後は顕微鏡の高性能化を行いながら、界面での高分子鎖の形態をバルクと比較する予定である。
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Research Products
(4 results)