2011 Fiscal Year Annual Research Report
高分子-液体間ナノ界面における高分子鎖シミュレーション解析
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular Soft-Interface Science |
Project/Area Number |
23106723
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
森田 裕史 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノシステム研究部門, 主任研究員 (10466790)
|
Keywords | 粗視化シミュレーション / 膨潤 / 溶解 / 高分子鎖ダイナミクス |
Research Abstract |
本研究の目的は、粗視化シミュレーションを用いて、高分子-液体間ナノ界面における界面場中における高分子鎖のコンフォメーションとダイナミクスを明らかにし、1分子鎖のサイエンスの観点から、高分子-液体間界面がソフト界面となりうるメカニズムを明らかにすることである。実験として、九州大学の田中らの実験研究によって、本来水に溶けないポリメチルメタクリレート(PMMA)におけるPMMA-水界面において、厚さが10nmを超えるナノ膨潤層が報告されている。本研究では、高分子の粗視化モデルを用いたシミュレーション用い、高分子と液体の間の相互作用パラメータを変えることで、非溶解状態・膨潤状態・溶解状態の3つの状態の相境界について分子鎖がわかるシミュレーションを用いて明らかにすることにある。 H23年度に実施した研究テーマは、以下の2つについて検討した。 1)液体-高分子薄膜界面のモデル化を行う。 2)1)で決定したモデルを用い、高分子の各粒子と溶媒との間の相互作用等を変えながら、非溶解状態から膨潤状態、溶解状態への状態の転移をシミュレーションで、記述する。 この結果、平均場法を用いたモデル、及び散逸粒子動力学(DPD)法を用いたモデルの2つのプロトタイプのモデルを用いることで、非溶解状態、膨潤状態、溶解状態を記述できることが示された。平均場法を用いたモデルにおいては、密度分布によって、3つの状態の記述に成功した。また、DPD法を用いたモデル化においては、分子鎖で可視化できるものとして、3つの状態の記述に成功した。これらのモデルは、実際に九州大学で行われている実験に見られる非平衡な膨潤状態の記述をまとめの研究として行うことに適用できるものであり、研究における1つの段階をクリアすることができた。 さらに、H23年度は、公募研究の1年目にあたるが、本新学術領域において行なわれている実験研究について情報収集を行い、理論・シミュレーションからのアプローチにより、ソフト界面で見られる構造・現象・物性等のメカニズム解析において貢献できる研究テーマについて検討し、複数の連携の候補を見つけることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画どおり、初期のモデルの構築に成功し、また、領域内における連携テーマの探索も進めることができたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
H24年度については、申請時には大規模計算を行なう予定であった。本年度は、より簡便かつ汎用性が高い手法をとる方法がいいと考え、研究室にある計算機でまかなえる中規模の計算を行い、モデル化とうまくハイブリッドさせることで、当初より目標としていた実験結果をうまく再現できる精度高いモデル化を目指すこととした。なお、以前より規模が大きな計算を行うために、並列化シミュレーションプログラムの導入のための準備も既に行っている。
|
Research Products
(6 results)