2011 Fiscal Year Annual Research Report
生体膜類似の糖鎖/ペプチドナノクラスターの構築と病原体の検出デバイスの開発
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular Soft-Interface Science |
Project/Area Number |
23106726
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
佐藤 智典 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (00162454)
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Keywords | 脂質 / 糖脂質 / 糖鎖認識 / 脂質ラフト / レクチン / 脂質単分子膜 / 糖鎖クラスター |
Research Abstract |
神経組織から膜脂質成分を単離する。まず、薄層クロマトグラフィーおよび液体クロマトグラフィー-質量分析装置(LC-MS)を用いて、リン脂質、糖脂質およびコレステロールなど脂質成分の種類および含有量を求めた。化学構造の明らかな脂質を用いて、生体膜類似の糖鎖クラスターを形成する人工脂質膜を作製した。用いる脂質の種類としては、糖脂質、リン脂質およびコレステロールなど脂質組成を考慮した。ラングミュアー型の単分子膜作製装置を用いて気-水界面に展開し、累積操作により再構成二分子膜を作製した。マイカ板に累積した膜は原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、ナノスケールでの脂質ドメインの形成を観察した。これにより、糖鎖ナノクラスター形成に寄与している成分を明らかにした。また、スフィンゴ糖脂質の局在を確認するために、レクチンや独自に開発したシアリルガラクトース結合性ペプチドを用い解析を行なった。AFMでの結合状態の観察を行なった。さらに、表面プラズモン共鳴装置(SPR)を用いて糖鎖認識の定量的な評価を行なった。これにより、シナプトゾーム膜と非シナプトゾーム膜での違いが見いだされた。次に、糖鎖ナノクラスターの形成と動力学的パラメーターとの関係を解析するために、オリゴ糖鎖を固定した糖鎖チップの作製を行った。固定化糖鎖へのレクチンやヘマグルチニンの結合を検出する手法を確立し、糖鎖クラスターへのレクチンの結合性の動力学的な解析を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
想定した実験の殆どは実施することができた。遺伝子組み換えタンパク質の作製では、計画した方法の改良は必要であったことから、評価が遅れているが、他のタンパク質の解析を実施しており、当初の目的を達成する事ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目は糖鎖クラスターに加えて、ペプチドクラスターについての検討を行う。ペプチドを固定した表面を作製して、インフルエンザウイルスやヘマグルチニンの結合性について定量的な解析を行なう。実験に使用するペプチドはすでに準備ができており、固定法については初年度に一部開始しているので、遅滞なく2年目の研究を実施できる見通しである。研究計画を変更する必要はなく、予定通りに研究を実施する。
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