2011 Fiscal Year Annual Research Report
半導体ナノシート液晶を基盤とする動的融合系の構築と光エネルギー変換
Publicly Offered Research
Project Area | Fusion Materials: Creative Development of Materials and Exploration of Their Function through Molecular Control |
Project/Area Number |
23107511
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
中戸 晃之 九州工業大学, 大学院・工学研究院, 教授 (10237315)
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Keywords | 無機ナノシート / 層状半導体 / 粘土 / コロイド / 液晶 / 光エネルギー変換 |
Research Abstract |
無機層状結晶を剥離させて得られるナノシートが形成する液晶(ナノシート液晶)は、ソフトマターの属性をもつ無機物質である。本研究では、半導体光触媒活性をもつ層状ニオブ酸のナノシート液晶をベースとして、光エネルギー変換機能をもつ融合マテリアルを構築する。通常は剛直部位となる無機ユニットにソフトマターを用いることで、系全体に柔軟性をもたせ、柔軟性による動的特性にもとづいて光機能を発現する材料系の開発をめざしている。平成23年度は、主に、光エネルギー変換機能を発現させるための物質系の組成・構造制御を検討してきた。具体的には、ニオブ酸ナノシート液晶への貴金属ナノ粒子の導入や、液晶中のナノシートの配向制御などである。また、板状無機粒子集合体の光機能として、粘土粒子の集合体を用いる光誘起電子移動系の組織化を検討した。 貴金属ナノ粒子の導入では、半導体光触媒の助触媒となる金および銀ナノ粒子とナノシート液晶との複合化を検討した。金前駆体存在下でナノシートを紫外光励起し、金ナノ粒子をシート上に析出させることができた。金ナノ粒子と複合化したナノシート液晶を、銀イオンと犠牲ドナーの存在下、金ナノ粒子の表面プラズモン共鳴帯を励起することで、ナノシート上にあらたに銀ナノ粒子を析出させることができた。 ナノシート液晶の配向制御としては、我々がすでに報告したニオブ酸ナノシート液晶の電場配向技術にもとづいて、電場と重力という2種類の外場の印加方向を制御することによる構造形成を検討した。その結果、外場印加の方向を制御することで、ニオブ酸ナノシート液晶から異なる高次組織構造を構築することができた。 また、粘土粒子の集合体を用いる光誘起電子移動系の組織化では、トリスビピリジルルテニウム錯体とメチルビオロゲンとの間の光誘起電子移動を、粘土粒子の集合構造によって制御する方法を提案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2011年9月に東京農工大学から九州工業大学へ異動し、研究設備の移動や研究環境の再構築に時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画より進捗がやや遅れており、また2012年度に予定していた研究協力者の助力が得られない見通しとなった。ただし、研究内容自体には特段の支障は生じていない。そのため2012年度の方策としては、連携研究者を新たに1名加え、研究の遂行を加速することとする。
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Research Products
(16 results)