2011 Fiscal Year Annual Research Report
有機分子-無機分子融合超分子ヒドロゲルの創製
Publicly Offered Research
Project Area | Fusion Materials: Creative Development of Materials and Exploration of Their Function through Molecular Control |
Project/Area Number |
23107514
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
山中 正道 静岡大学, 理学部, 准教授 (10377715)
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Keywords | 超分子 / 自己集合 / ゲル / 疎水性相互作 / 水素結合 / ウレア / ファイバー / 動的共有結合 |
Research Abstract |
複数の成分が共同的に機能することにより形成する超分子ヒドロゲルの開発を行っている。本年度は、ウレイド基を有する三回対称型両親媒性分子のイオン性界面活性剤により誘導される超分子ヒドロゲルの形成について研究を実施した。糖とジエチレングリコールを親水基として有する両親媒性トリスウレアは、水中においては強い疎水性相互作用の効果により沈殿を生じる。ここに、ドデシル硫酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤を添加したとき、超分子ヒドロゲルを形成することを見出した。種々の界面活性剤を用いたゲル化実験の結果より、イオン性界面活性剤が両親媒性トリスウレアのゲル化を誘導することを明らかとした。さらに、走査型電子顕微鏡を用いた集合体の観察や赤外吸収スペクトルの解析などのより、イオン性界面活性剤が両親媒性トリスウレアの自己集合により形成した超分子ポリマーのバンドル化を制御することで超分子ヒドロゲルを形成しているという機構を明らかとした。さらに、ドデシル硫酸ナトリウムを含む緩衝液と両親媒性トリスウレアから形成する超分子ヒドロゲルを用いた、タンパク質試料の電気泳動法の開発を行い、タンパク質試料の分離を実現した。本超分子ヒドロゲル電気泳動では、低分子量のタンパク質の移動距離が短くなるという、これまでのポリアクリルアミドゲルを用いた電気泳動では見られない特異な分離パターンが見出された。また、タンパク質を含むゲル試料を遠視分離するという極めて簡便な操作により、ゲルからタンパク質試料を回収できることも明らかとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は順調に進展しており、本年度は世界初の超分子ヒドロゲルによるタンパク質試料の電気泳動法の開発を達成した。既存の高分子ゲルを用いた電気泳動と比較したとき、実用性の面では改善すべき点は多々あるものの、新規性の高い研究を達成できたことは意義のあることであると自己評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
超分子ヒドロゲルを用いた電気泳動法においては、高分子ゲルを用いた電気泳動と比較してゲル担体の価格、及び分離能において問題点を有する。そこで、今後はより合成が容易な分子を用いた超分子ヒドロゲルを用い、かつ超分子ヒドロゲル特有の分離パターンと高い分離能を持った電気泳動法の開発へと研究を展開する。また、超分子ヒドロゲルを用いた細胞貯蔵など、応用面を意識した新規な材料開発を継続して実施する。
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Research Products
(13 results)