2011 Fiscal Year Annual Research Report
光学活性融合マテリアル創出を指向したキラルリンポリマーの合成と高次構造制御
Publicly Offered Research
Project Area | Fusion Materials: Creative Development of Materials and Exploration of Their Function through Molecular Control |
Project/Area Number |
23107516
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森崎 泰弘 京都大学, 工学研究科, 講師 (60332730)
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Keywords | リン原子 / 光学活性 / 高次構造 / 金属配位 |
Research Abstract |
高分子化学分野において、不斉リン原子を主鎖骨格に有する光学活性ポリマーの合成例は我々が報告した数例に限られている。そればかりか、不斉リン原子に限らず、不斉ヘテロ原子を主鎖骨格に有する光学活性ポリマーは、不斉硫黄原子と不斉ケイ素原子を有するものが幾つか知られているのみである。 この様な背景の下、平成23年度は新奇キラルリンポリマー・オリゴマーの合成、ならびにそれらの配位挙動について詳細に検討を行った。まず、光学活性ビスホスフィンを前駆体として用い、官能基変換後パラジウム錯対触媒によるカップリング反応を経て、対応するキラルリンポリマーを良好な収率で得た。その数平均分子量はポリスチレン換算で7300と見積もられだ。得られたキラルリンポリマーに対し白金またはパラジウムを添加すると、ビスホスフィン部位が金属にキレート配位したキラルリンポリマ己錯体が得られた。この錯形成挙動をNMRならびに円二色性スペクトルで追跡した。NMR測定では、白金の添加に伴い、リン原子が単座配位と二座配位の平衡状態を経る事が碓認でき、最終的に全てのビスホスフィンが白金にキレート配位することが明らかになった。また、ポリマーの円二色性スペクトルをクロロホルム希薄溶液中測定したところ、主鎖骨格に由来する吸収領域にはほとんどコットン効果が観られなかったが、これに白金またはパラジウムを添加すると、白金の添加に伴い同吸収領域に顕著なコットン効果が親られた。リン原子のキラリティーが金属配位をトリガーとして主鎖骨格に誘趨されたことが示唆される。 また、キラルリンオリゴマーの合成にも成功し、添加する塩基の種類によって化学選択的にリン原子に配位したボランを除去することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的とするポリマーの合成に成功し、当初の計画通り金属配位による高次構造変化を実証できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
高分子骨格に適切な置換基を導入することにより、水溶性を付与したキラルジンポリマーを合成し、水中において金属配位をトリガーとする高次構造形成を確認すると同時に、炭酸カルシウムの結晶化などバイオミネラリゼーションの足場としての応用を模索する。
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