2011 Fiscal Year Annual Research Report
金属超分子を構成単位とする融合マテリアルの構築
Publicly Offered Research
Project Area | Fusion Materials: Creative Development of Materials and Exploration of Their Function through Molecular Control |
Project/Area Number |
23107517
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
今野 巧 大阪大学, 理学研究科, 教授 (50201497)
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Keywords | 超分子化学 / 結晶工学 / 自己組織化 |
Research Abstract |
本研究では、親水性のアミノ酸と疎水性のジフェニルフォスフィンの両方を1分子中に含むキラル金属超分子の合成、およびこの種の金属超分子を構成単位どする無機-有機複合型の融合マテリアルの構築について検討した。 まず、アミノ基、カルボキシル基、およびチオラト基をもつ含硫アミノ酸がジフェニルフォスフィンをもつ金属錯体ユニットに硫黄原子で結合した両親媒性のキラル複核錯体を合成した。また、得られたキラル錯体については、NMRスペクトルにより純度を確認するとともに、各種分析手段により同定を行った。さちに、この錯体の単結晶を合成して、X線解析によりそのキラル構造を決定し、異種金属イオンとの反応に向けた構造的知見を得た。次に、このキラル複核錯体と強固な八面体構造を取り易い金属イオンとの反応を行い、親水性基と疎水性基を併せ持つキラルな異種金属超分子化合物の合成を試みた。この際、サイズや幾何構造の異なる1価の無機アニオンを反応溶液に添加することにより、キラル複核錯体が自己集積化した超分子構造体の単離に成功した。各種分析機器を用いて上記の超分子構造体の同定を行うとともに、添加したアニオンが超分子構造体中に取り込まれていることを確認した。単結晶X線構造解析を行ったところ、構造中にはキラル複核錯体六分子が自己集積したカチオン性金属超分子が存在していた。同時にアニオン性のクラスターも存在しており、カチオン性金属超分子とアニオン性クラスターから構成される新種の融合マテリアルが構築されていることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実施の概要に記したように、キラル多核錯体が自己集合化した金属超分子の合成に成功している。また、その構造をX線解析から明らかにしており、親水性のアミノ酸と疎水性基のジフェニルフォスフィンの共存が超分子構造の構築に極めて有用であることが示された。さらに、この金属超分子とアニオン性クラスターとの融合マテリアルの構築も確認しており、研究は極めて順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、上記の金属超分子と別の無機アニオンあるいは錯体アニオンとの融合を検討する。また、単結晶を作成してX線構造解析を行い、金属超分子を構成単位とする融合マテリアルが構築されているかどうか確認するとともに、この種の融合マテリアル形成の指導原理を追求して行く。
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