2011 Fiscal Year Annual Research Report
イオン液体-ナノ粒子融合マテリアルの構築
Publicly Offered Research
Project Area | Fusion Materials: Creative Development of Materials and Exploration of Their Function through Molecular Control |
Project/Area Number |
23107520
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
中嶋 琢也 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 准教授 (70379543)
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Keywords | イオン液体 / ナノ粒子 / 自己組織化 / 表面・界面 / 複合材料 / 光物性 |
Research Abstract |
金属・半導体ナノ粒子はナノサイズ特有の物性を示す。さらに、ナノ物質-ソフトマテリアルの融合により材料特性の向上のみならず、各々の材料単体では得られない融合マテリアル特有の光・電子・磁気特性の発現が期待される。一方、イオン液体は媒体自体に組織構造を内在する自己組織性媒体として注目されつつあるが、規制された次元性や階層構造を有する高分子や液晶などと比べて、イオン液体の組織構造の秩序性は低く曖昧であり、流動的でもある。本研究では、イオン液体とナノ粒子の融合による周期性の向上と秩序性の獲得を目指す。本年度は、金ナノ粒子との融合を中心に検討を行った。 表面を2-ジメチルアミノエタンチオール塩酸塩で被覆した種々の金属、半導体ナノ結晶を合成し、ビストリフルオロメタンスルホニルアミド(TFSA)を有する疎水性のイオン液体との複合化を行ったところ、すべて(CdTe,CdSe,PbS,PbS,Au,およびAg)のナノ粒子において均一分散が確認され、イオン液体-ナノ粒子複合体形成の方法論の一般性が実証された。特に、表面配位子のカウンターアニオンをTFSAとした金ナノ粒子は、イオン液体と任意の割合でマクロには均一に高濃度で分散することを見出した。 また、カウンターアニオンをTFSAとした配位子はイオン液体としても振る舞い、表面をイオン液体で被覆された金ナノ粒子は、イオン液体特有の凝集性により、ナノ粒子による超格子構造や高分子のスピノーダル様の構造を与えた。すなわち、融合マテリアル中でイオン性部位および金属部位がそれぞれ相分離した超構造を形成している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的であったイオン液体-ナノ粒子融合マテリアル形成のための、界面設計を一般化することができ、多種のナノ粒子についてイオン液体との融合を達成できた。また、本系の特徴であるイオン液体への高濃度分散の観点においても、イオン液体と任意の割合で混和する金ナノ粒子を作成することができ、金の重量換算で60wt%を超える融合マテリアルの作成に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
表面をイオン液体分子で被覆した金ナノ粒子は、溶媒からキャストすることによりフィルムを形成し、フィルム中において超格子などの超構造を形成することで、イオン液体部位と金属部位が相分離した構造を与えていると考えられる。これについて、イオン液体を極微量添加することによる構造変化を小角X線散乱、DSC測定により評価する。また、加熱に伴う電気伝導性の増加についても評価し、ナノインクとしての特性について検討を行う。
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