2011 Fiscal Year Annual Research Report
バイオミネラリゼーションの時空間的制御を可能とするケージドペプチドの創製
Publicly Offered Research
Project Area | Fusion Materials: Creative Development of Materials and Exploration of Their Function through Molecular Control |
Project/Area Number |
23107523
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
重永 章 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (10423394)
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Keywords | 合成化学 / ペプチド / ケージド化合物 |
Research Abstract |
本研究では、紫外線照射をトリガーとしてバイオミネラリゼーションを誘起するケージドペプチドの開発を目的とする。"ケージド~"とは"紫外線照射により~を放出する前駆体化合物"を意味する。 バイオイメージングや新エネルギー分野において、金属ナノ粒子が注目を集めている。これら研究では、大きさおよび形状が精密に制御されたナノ粒子が必要となる。金属ナノ粒子の大きさなどを精密に制御する方法論の一つとして、ペプチド性バイオミネラリゼーション開始剤を利用したボトムアップ戦略があげられる。しかし、これらペプチドによるバイオミネラリゼーション機構には未だ不明な点が多いため、適切な分子設計が困難な状況にある。 そこで申請者は、バイオミネラリゼーション機構の解明を目指し、紫外線照射をトリガーとしてバイオミネラリゼーションを開始するケージドペプチドの開発を目的とした。本研究では、(1)ケージドシステイン、(2)ケージド非水解性リン酸化セリン、および(3)紫外線照射によるペプチド二次構造制御法を確立した後、これらのケージドペプチドへの展開を図る。本研究より得られる成果は、バイオミネラリゼーション機構解明のための有用なツールの開発につながるのみではなく、ボトムアップ型ナノ構造作成に必須となるバイオミネラリゼーションの空間的制御法としての展開も期待できる。 申請者は今年度、上記(1)(2)の開発について検討した。この結果、ケージドシステインおよびケージド非水解性リン酸化セリンの合成法を確立するとともに、これらのペプチドへの導入および紫外線照射による親化合物の放出に成功した。現在、これらを用いたバイオミネラリゼーションの光制御および(3)紫外線照射によるペプチド二次構造制御法の構築について検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、ケージドシステインおよびケージド非水解性リン酸化セリンの開発に成功していることから、本研究はおおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はまず、紫外線照射によるペプチド二次構造制御法を確立する。続いて、本制御法および今年度開発に成功したケージドシステインおよびケージド非水解性リン酸化セリンの、バイオミネラリゼーションの光制御への展開を図る計画である。なおペプチド二次構造の制御では、ケージドシステインの開発において得られたチオール保護基を母骨格とした誘導体を用いる。
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Research Products
(42 results)