2011 Fiscal Year Annual Research Report
PLGA階層化炭酸アパタイトフォームの創製
Publicly Offered Research
Project Area | Fusion Materials: Creative Development of Materials and Exploration of Their Function through Molecular Control |
Project/Area Number |
23107525
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
石川 邦夫 九州大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (90202952)
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Keywords | 海綿骨 / 炭酸アパタイト / フォーム / PLGA / 階層化 / 生体吸収性 / 骨置換材 |
Research Abstract |
超高齢社会の到来に伴い骨再建術式が急増しており、自家骨に置換される骨置換材の創製が社会的急務である。現在、水酸アパタイト焼結体が骨補填材として臨床応用されているが、骨に置換されることはない。骨の無機主成分が炭酸アパタイトであるにも係わらず水酸アパタイトが骨補填材として臨床応用さている理由は炭酸アパタイトが高温で分解されるためである。一方、本研究者が提案している海綿骨の組成と連通構造を模倣した炭酸カルシウム炭酸アパタイトフォームは迅速に骨に置換されるが、機械的強さや脆性に問題があり現段階での臨床応用は不可能である。本研究では骨が有機/無機融合マテリアルであることに学び、破骨細胞に吸収を受ける炭酸アパタイトと生体吸収性高分子であるポリ乳酸-ポリグリコール酸共重合体を階層化し、海綿骨と同様に連通気孔構造を持ち、海綿骨と同様に迅速に骨に置換され、海綿骨と同等な機械的強さとしなやかさを持ったPLGA階層化炭酸アパタイトフォームを創製することを目的とした。 本年は研究の初年度にあたり炭酸アパタイトフォームを調製し、当該炭酸アパタイトフォームに乳酸グリコール酸共重合体(PLGA)を融合化させた。単純に炭酸アパタイトフォームをPLGA溶液に浸漬した場合でも機械的強さは向上するが、炭酸アパタイトとPLGAの界面に空隙が認められた。そのため、真空浸漬による複合化を検討した。真空浸漬すると炭酸アパタイトとPLGAの界面に認められていた空隙はなくなり、両者が緊密に融合されることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年は研究の初年度にあたり無機組成物である炭酸アパタイトフォームを調製し、当該炭酸アパタイトフォームに有機成分である乳酸グリコール酸共重合体(PLGA)を融合化させた。まず、単純に炭酸アパタイトフォームをPLGA溶液に浸漬し、両者を融合化する系の検討を行った。この系でも炭酸アパタイトフォームの脆性は改善され、また機械的強さも著しく向上されるが、炭酸アパタイトとPLGAの界面に空隙が認められることがわかった。そのため、より高度な融合化を目指し、真空浸漬による複合化を検討した。真空浸漬はPLGA溶液を液体窒素で凍結した後で真空チャンバー内で炭酸アパタイトフォームも真空とし、PLGAを融解させた後、炭酸アパタイトフォームに複合化する手法である。この真空浸漬によって、炭酸アパタイトとPLGAの界面に認められていた空隙はなくなり、両者が緊密に融合された。 炭酸アパタイトとPLGAとの融合化が行えたため、研究計画はほぼ順調であると判断された。
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Strategy for Future Research Activity |
実験動物を用いて得られた炭酸アパタイトフォーム-乳酸グリコール酸共重合体(PLGA)の組織学的反応を検索する。 なお、得られた炭酸アパタイトフォーム-PLGA融合体はPLGAが炭酸アパタイトフォームを被覆している。PLGAはポリマーの中では優れた組織親和性と生体吸収性を示すが、骨伝導性はなく、炭酸アパタイトと比較すると組織親和性にも劣る。研究者が提案している前駆体を用いた溶解析出反応による炭酸アパタイト調製法の特徴は焼成などの高温を用いないことである。そのため、炭酸アパタイトフォームにPLGAを融合化させ、さらに融合体の表面に炭酸アパタイトを被覆する炭酸アパタイト-PLGA階層化フォームに関しても検討を進める。
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