2011 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質複合体形成・解離に関わるモードカップリング解析法開発
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular Science of Fluctuations toward Biological Functions |
Project/Area Number |
23107705
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
北尾 彰朗 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 准教授 (30252422)
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Keywords | ダイナミクス / エネルギー地形 / 構造変化 / シミュレーション |
Research Abstract |
本研究では、タンパク質の複合体形成や解離のメカニズムを、構成する原子の集団的自由度(モード)間のカップリングというコンセプトで、これまでのInduced-fitやpre-existingモデルよりも詳細なレベルで明らかにするシミュレーション手法を開発することを目指している。将来的には、アミノ酸変異やアロステリックリガンドによって機能を制御し、結合部位をブロックするような既存の創薬とは異なる新たな創薬スキームを可能にするための基礎を確立したいと考えている。 当該年度は、構造変化の効率的サンプリングと自由エネルギー地形計算に進展があった。まずTransform and Relax Sampling(TRS)を開発した。この手法はシステムにランダムな摂動を与えることで、タンパク質のソフトモードを励起するシミュレーション法である。これのよりこれまで粗視化シミュレーションによって行ってきた広い立体構造空間のサンプリングを、あらわに溶媒分子を含めたシミュレーションを実行できるTRSで置き換えることが可能になった。 また、2つの状態間をつなぐトラジェクトリを生成するPACS-MD(PArallel Cascade Selection Molecular dynamics)の開発を進めた。これは完全に独立な複数のトラジェクトリからターゲット構造に近いものを選択するプロセスを繰り返すことで、システムにバイアスをかけることなしに2状態間を接続するトラジェクトリを生成するものである。タンパク質のフォールディング・アンフォールディングやドメイン運動において、この手法が有効であることが明らかになってきた。 また、MSFEL(Multiscale Sampling for Free Energy Landscape analysis)法を用いた自由エネルギー計算をいくつかのシステムで実行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
モードカップリング解析法の開発に関してはそれほど大きな発展はなかったが、自由エネルギー計算に関しては、MSFEL(Multiscale Sampling for Free Energy Landscape analysis)法の応用が進んだ。また、システムにランダムな摂動を与えることでソフトモードを効率的にサンプリングするTransformandRelaxSampling(TRS)を開発した。更に2つの状態間をつなぐトラジェクトリを生成するPACS-MD(PArallel Cascade Selection Molecular dynamics)の開発が進んだことなど予定よりも計画が進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
自由エネルギー地形計算に関しては、昨年度開発したTransform and Relax Sampling(TRS)を発展させ、MSFEL(Multiscale Sampling for Free Energy Landscape analysis)法と組み合わせて自由エネルギーを計算できるように手法開発を行う。またPACS-MDの完成を目指した研究を行う予定である。
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Research Products
(29 results)