2011 Fiscal Year Annual Research Report
1分子リフォールディング実験によるミオグロビンの天然―変性状態の揺らぎの解析
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular Science of Fluctuations toward Biological Functions |
Project/Area Number |
23107711
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
川上 勝 北陸先端科学技術大学院大学, マテリアルサイエンス研究科, 准教授 (70452117)
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Keywords | 原子間力顕微鏡 / 1分子計測 / フォールディング / ミオグロビン |
Research Abstract |
本年度の研究ではミオグロビンの1分子力学測定を行うために、力学的特性が良く調べられたTitinをハンドル分子とし、ミオグロビンを挟む形でタンパク質を発現調製した。このタンパク質のN末にはHisタグが付けられており、Ni-NTAによる精製を可能としている。またC末にのみシステイン残基が付加されており、これが金基板と金チオール結合により固定され、ミオグロビンのN末-C末方向への1分子伸長が可能となった。このタンパク質を実際にAFMにより1分子力学測定を行ったところ、タイチンの規則正しいノコギリ波状のフォースカーブとともに、数十pN程度ではあるが、ミオグロビンの全長を示すフォースピークがみられた。これによりミオグロビンの1分子力学実験が可能であることが示された。 さらにそのピークの出現の様子を調べてみると、ピークがいくつも現れる場合が存在することに気付いた。これは、ミオグロビンがall-or-noneで壊れるのではなく、いくつかの中間体を経てアンフォールディングしていることが示唆される。この実験はHolo体のミオグロビンに対してのものであり、この力学安定性と、中間体の存在が、ヘムの存在によるものである可能性がある。これまで、ミオグロビンの安定性にヘムが重要であることは示されてきたが、これまでの実験では化学的安定性(変性温度、変性剤濃度など)であったのに対し、力学的にも、ヘムが安定性に寄与していることを示す新しい情報である。 これとは別に、前年度に発表した、ハロタグタンパク質を用いたタンパク質分子の部位特異的、共有結合による固定方法の研究について、コロンビア大学のFernandezのグループから、タンパク質のコンストラクトの依頼と、協同研究の依頼が有った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ミオグロビンの1分子を示すデータの取得頻度が、予想よりも著しく低いため、データの収集に時間がかかり過ぎているため、研究の進度が遅れていると判断される。これはミオグロビンと基盤との非特異的吸着が原因の可能性が有るため、プロソキング剤などの導入により、取得頻度を上げる工夫が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
Holo型のミオグロビンの1分子力学データとともに、apo体のデータを収集し、ヘムのもつミオグロビンの力学的安定性、中間体(アンフォールディング経路)への影響を調べる。さらに、引っ張る速度を変化させ、ミオグロビンの自由エネルギー地形に関する情報を抽出し、ミオグロビンの揺らぎ、硬さなどを調べる。
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Research Products
(7 results)