2011 Fiscal Year Annual Research Report
分子モーターの構造揺らぎを調べる超高速配向イメージング法の開発
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular Science of Fluctuations toward Biological Functions |
Project/Area Number |
23107720
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
飯野 亮太 東京大学, 工学系研究科, 講師 (70403003)
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Keywords | 分子モーター / 揺らぎ / 1分子計測 |
Research Abstract |
短軸25nm、長軸55nmの金ナノロッドをプローブとし、時間分解能10マイクロ秒でその異方性散乱を検出してその配向(XY平面に射影した角度)を計算する方法を下記の3種類確立した。1.全反射型暗視野照明において偏光エバネッセント光を用い、散乱強度の変化をモニターし配向を計算する方法。2.後方散乱型暗視野照明による散乱光を直交する偏光2成分に分けその強度比から配向を計算する方法。3.後方散乱型暗視野照明による散乱のデフォーカス像の点像分布関数の広がりから配向を計算する方法。 また、回転モータータンパク質F1-ATPaseの回転子γサブユニット、およびトルク発生サブユニットβに金ナノロッドを結合させるための変異体を作製した。γサブユニットに結合させた金ナノロッドでは、上記3のデフォーカスを用いた方法から得られる点像分布関数の強度分布からその配向が直接求められることが明らかとなり、データ解析が迅速に行えることが明らかとなった。また、同程度のサイズの金コロイド粒子を用いた暗視野観察法よりも、回転している分子が容易に判別できるという利点が明らかとなった。βサブユニットに結合させた観察では、2つの配向状態を可逆的に遷移する様子が観察された。 それぞれの状態の寿命はF1-ATPaseのATP加水分解活性と同程度であり、F1-ATPaseの触媒反応に伴うβサブユニットの構造変化が検出できていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
10マイクロ秒の時間分解能での金ナノロッドの配向検出に成功した。また、回転子γサブユニットの回転とトルク発生サブユニットβの構造変化に対応すると考えられる金ナノロッドの配向の変化をとらえることに成功した。これらの点から、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、配向を決定するデータ解析の迅速化を図る。また、2つのビームディスプレイサーを用い、散乱光を4つの成分に分けて測定可能な角度範囲を現在の0-90°から0-180°に広げる。さらにデフォーカス像から3次元の配向を決定する手法を検討する。
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