2012 Fiscal Year Annual Research Report
人工揺らぎ環境場における糖鎖プロセシング解析
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular Science of Fluctuations toward Biological Functions |
Project/Area Number |
23107727
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
戸谷 希一郎 成蹊大学, 理工学部, 准教授 (80360593)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 酵素 / 分子クラウディング / 細胞外マトリクス / 糖鎖 / 揺らぎ |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞内は一般的なin vitro環境と比べて分子濃度が高く、これにより酵素活性に代表されるタンパク機能は多大な影響を受ける。我々は小胞体内のN-型糖タンパク質上の糖鎖プロセシングに注目し、これを連続的な代謝過程のモデルとしてマクロ分子クラウディング効果について検討した。生理的な糖鎖構造をもつ合成基質を用いて定量的な解析を行った結果、分子クラウディング環境下において糖鎖プロセシング前半のグルコース切断過程は加速される一方、糖鎖プロセシング後半のマンノース切断過程は減速されることが明らかとなった。さらに同様の分子クラウディング下において、レクチン様分子シャペロン「カルレティキュリン」が糖鎖プロセシング中間体とより強固に結合することも明らかにした。本研究は連続的な酵素反応過程における多様な分子クラウディング効果を明確にし、連続的な代謝過程をin vitroでアッセイする際にマクロ分子クラウディング効果を考慮することの重要性を述べている。 我々は細胞間の特殊反応場にも注目し、細胞外マトリクスによって形成される網目環境の影響を精査した。具体的にはJack Bean α-マンノシダーゼによる糖加水分解反応が、細胞外マトリクスモデルであるヒアルロン酸に由来する網目環境下においてどのような影響を受けるか検討した。その結果、細胞外マトリクス様の環境下において当該モデル反応の効率は、ある種のヒアルロン酸添加濃度においてin vitro環境での実験と比較して、1.31倍に向上することが明らかとなった。これは反応系内粘度がヒアルロン酸添加濃度の上昇に比例して向上する現象と相関せず、反応性の向上に環境場が有意に寄与したことを意味している。すなわち我々が見出した結果は、ヒアルロン酸によって構築された網目環境が酵素を捕捉し、拡散が制限された微小空間内で酵素と基質の衝突確率が向上したことを示唆している。
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Research Progress Status |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(33 results)