2011 Fiscal Year Annual Research Report
シャペロニン援助フォールディングにおけるタンパク質の揺らぎ制御の解析
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular Science of Fluctuations toward Biological Functions |
Project/Area Number |
23107728
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
元島 史尋 京都産業大学, 総合生命科学部, 助教 (70372464)
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Keywords | タンパク質 / フォールディング / 分子シャペロン / BFP / 揺らぎ / 1分子観察 |
Research Abstract |
分子シャペロンは蛋白質のフォールディングを援助する特異な働きを持つ。シャペロニンがどのようにしてフォールディングを促進するのか、いまだに統一見解は得られていない。私は最近、シャペロニンの空洞は変性タンパク質と結合している結果を得た(Motojima,F. & Yoshida,M.,EMBO J. 29,4008-4019 (2010))。本研究ではシャペロニンによるタンパク質の局所的な揺らぎの制御がフォールディングにどのように影響しているかを明らかにすることが目的である。 当該年度は、まず予備実験としてシャペロニンによるフォールディングにおける蛍光anisotropyを種々のタンパク質について行った結果、これまでの報告とは異なり、タンパク質はフォールディングしても蛍光anisotropyがほとんど減少しないことが明らかとなった。これはシャペロニンがタンパク質の揺らぎを大きく減少させている証拠である。これらの結果については論文に投稿したところである。 また当初予定していたmCherryはanisotropy測定に不都合であることが判明したため、代わりにBFPを基質タンパク質として用いることした。蛍光寿命anisotropy測定を本新学術領域の石井邦彦氏との共同研究にて行い、シャペロニン空洞内に強制的に結合させた変性BFPの動きは強く抑制された状態であることがわかった。またBFPのフォールディングにおける熱力学的パラメータの同定を行い、ΔCpを小さくすることが判明した。この結果はシャペロニンと変性タンパク質間の疎水性相互作用を示唆している。1分子蛍光anisotropyの実験系については現在ガラス基板の修飾、溶液交換システムを確立したところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画で用いる予定であったmCherryは研究で不都合が生じることが判明し、別のタンパク質をスクリーニングする必要に迫られた。計画になかった蛍光寿命anisotropy、熱力学的パラメータの解析に時間を割く必要があった。しかし1分子蛍光anisotropyの実験系の開発は進んでおり、研究計画は予定通り実行できると見込んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究結果より、当初の予想通り、シャペロニン空洞内の変性タンパク質の動きは強く抑制された状態であることが判明した。しかし、フォールディング前後でのanisotropyの差が小さいために、当初の計画にあった蛍光1分子anisotropyでは解析が困難である可能性がある。そこで1分子anisotropy測定に加えて1分子FRETを測定することを計画している。この方法はタンパク質の構造揺らぎを蛍光強度の揺らぎで測定することができる。
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