2011 Fiscal Year Annual Research Report
渦鞭毛藻由来マクロリドの特異な生合成経路の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Biosynthetic machinery: Deciphering and regulating the system for bioactive metabolite diversification |
Project/Area Number |
23108502
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
久保田 高明 北海道大学, 大学院・薬学研究院, 准教授 (60399954)
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Keywords | 渦鞭毛藻 / Amphidinium sp. / マクロリド / Amphidinolide / ポリケチド / 生合成 / cDNAライブラリー / 次世代シーケンサー |
Research Abstract |
渦鞭毛藻の生産するポリケチドは、主鎖に酢酸のメチル基炭素が単独で取り込まれる部位が存在することや、C1分岐鎖の炭素の多くが酢酸のメチル基炭素に由来することから、通常の酢酸-マロン酸経路に加えて、特異な炭素鎖伸長経路により生合成されると推定される。当研究室においてAmphidinium属の渦鞭毛藻から単離、構造解析された一連のマクロリドであるアンフィジノリド類も、13C標識酢酸の取り込み実験の結果から、特異な炭素鎖伸長経路により生合成されていると考えられる。この特異な炭素鎖伸長経路のメカニズムについては、いくつかの推定がなされているものの、実験的には明らかにされていない。そこで研究代表者は、渦鞭毛藻の特異な炭素鎖伸長経路のメカニズムを明らかにする目的で、渦鞭毛藻からアンフィジノリド類の生合成遺伝子の探索を行ってきた。 これまで生合成実験に用いていた株(渦鞭毛藻Amphidninium sp.Y-42株)のマクロリド生産性が著しく低下していたため、新たに沖縄で渦鞭毛藻の採集を行った。培養に成功した25株の渦鞭毛藻(Amphidinium属18株、Prorocentrum属4株、Symbiodinium属2株、未同定1株)のうち、数種について大量培養を行った結果、Amphiscolops属のヒラムシの体内より分離したAmphidinium属の渦鞭毛藻にAmphidinolide類の生産が認められた。現在、この株に対して、Amphidinolide類の生合成中間体と考えられる化合物の取り込み実験を実施している。また、この株より抽出したmRNAより作製したcDNAライブラリーの遺伝子配列を、次世代シーケンサーを用いて解析している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Amphidinolide Hを生産する株の化合物生産性が著しく低下していたが、新たにAmphidinolide B,C,T1を生産する渦鞭毛藻株の取得および培養に成功した。現在、この株に対して、Amphidinolide類の生合成中間体と考えられる化合物の取り込み実験を実施している。また、この株より抽出したmRNAより作製したcDNAライブラリーの遺伝子配列を、次世代シーケンサーを用いて解析している。当初の計画からAmphidinolideの種類、cDNAライブラリーの作製および解析方法に変更があったが、「研究の目的」の達成に向けて順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
次世代シーケンサーを用いて解析したcDNAライブラリーの遺伝子情報から、Amphidinolide類の生合成遺伝子を選別する。 BACベクターを用いて同渦鞭毛藻のゲノムライブラリーを作製し、PCRスクリーニングにより、amphidinolide類の生合成遺伝子を含むベクターを選別する。選別したベクターのインサートDNAの配列を次世代シーケンサーを用いて解析し、amphidinolideの全生合成遺伝子を取得する。
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Research Products
(5 results)