2011 Fiscal Year Annual Research Report
Fengycin構造混乱の終結:生合成経路の矛盾解消
Publicly Offered Research
Project Area | Biosynthetic machinery: Deciphering and regulating the system for bioactive metabolite diversification |
Project/Area Number |
23108504
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
橋本 勝 弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (40212138)
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Keywords | plipastatin / fengycin / 構造混乱 / NMRスペクトル / 構造解析 / 分解反応 / CDスペクトル / ダンシル化 |
Research Abstract |
.Bacillus subtilis H336Bより単離した強い抗菌性を示すデプシペプチドのプロトンNMRスペクトルは、1986年にBudzikiewiczらによって単離されたfengycinとよい一致を示した。純粋にした本化合物をカリウム塩に変換したところ、NMRスペクトルは大きく変化してplipastatinと一致した。両化合物はジアステレオマーとして報告されていたが、これらの実験から両者は同一物質であり、したがっていずれかの構造、あるいは両構造ともに間違いがあることを示唆した。そこで、本化合物の構造を独自に解析した。まず、温和な塩基性条件下でメタノリシスが進行し、その結果メタノール付加体を与えることからデプシペプチド構造を確認した。加水分解体およびメタノリシス体のMSMSスペクトルを比較してそのペプチド配列を確実に決定した。3-ヒドロキシ脂肪酸アミド部分は、酸加水分解後、還元、続く2-ナフトイル化により発色団を装着した。また同化合物を合成し、CDスペクトルを比較することによりR立体配置を決定した。本化合物はD-およびL-チロシンをそれぞれ1残基ずつ含んでいるが、そのうち一つのフェノール性水酸基はラクトン構造に含まれている。そこでダンシル化反応により遊離したフェノール性水酸基に選択的にラベル化し、引き続く加水分解、Marfey法によりキラル素子を装着、HPLCを用いて分析した。その結果、ラクトン環に関与したラベル化されないチロシンがL配置、ラベル化される、すなわち遊離のフェノール性水酸基を持つチロシンがD配置であることが明らかになった。以上の結果はplipastatinと同一構造である。このことより、200以上の科学論文に登場するfengycinの構造に誤りがあることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
独自の構造解析による構造確定に成功、構造混乱にほぼ終止符を打つことができた。最終確定には訂正される以前の構造を化学合成し、スペクトルが一致しないことを示す必要があるが、これについては合成に着手した段階で、まだ進展が見えるとは言えないため。
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Strategy for Future Research Activity |
我々の構造解析から、fengycinの構造には間違いがあることが判明したが、その最終確定には、訂正される以前の構造を化学合成し、スペクトルが一致しないことを示す必要がある。現在その合成に着手した段階であるが、本年度中にその合成を完成すべく検討を進めたい。
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