2011 Fiscal Year Annual Research Report
サブユニット組成によるノルリグナン生合成反応の制御
Publicly Offered Research
Project Area | Biosynthetic machinery: Deciphering and regulating the system for bioactive metabolite diversification |
Project/Area Number |
23108512
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鈴木 史朗 京都大学, 生存圏研究所, 助教 (70437268)
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Keywords | ノルリグナン / 結晶構造解析 / 反応機構 / サブユニット / 生合成 / ヒノキレジノール |
Research Abstract |
ノルリグナンは、2個のベンゼン環と5個の炭素原子の側鎖からなる化合物の総称で、スギやヒノキなどの針葉樹の心材に多く蓄積し、抗菌性などの生理活性を示す。近年、研究代表者らは、非ノルリグナン炭素骨格のρ-クマル酸ρ-クマリルから、ノルリグナン炭素骨格を有するcis-ヒノキレジノールへの変換は、二種類のサブユニット(αとβ)から成るヘテロ二量体酵素のcis-ヒノキレジノール合成酵素により触媒されることを示した。さらに、天然型のαβヘテロ二量体酵素は光学的に純粋な天然型のcis-ヒノキレジノールのみを生成させるのに対し、非天然型のααやββのホモ二量体酵素は、光学純度の低い非天然型のtrans-ヒノキレジノールのみを生成させることを明らかにした。すなわち、サブユニット組成の違いにより、酵素反応のシス-トランス選択性およびエナンチオ選択性が制御される新奇な機構を見出した。そこで、本研究では、結晶構造解析により、サブユニット組成による酵素反応の制御機構を明らかにする。H23年度は、結晶構造解析のための組換えタンパク質の大量調製法を確立することを目的として検討を行った。その結果、大腸菌を用いたヒノキレジノール合成酵素のααホモ二量体酵素の異種発現系および陰イオン交換高速液体クロマトグラフィーを用いた精製系を確立した。SDS-PAGE上では精製酵素は単一バンドを示したが、Native PAGE上では複数のバンドに分れたことから、精製酵素は複数の多量体の混合物として存在している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当座の到達目標としていた、組換えダンパク質の大量生産および精製手法を本年度中に確立することが出来、次年度はその手法を使って、結晶化実験用タンパク質を調製することが出来ると考えられることから、研究の目的の達成度としては、お部むね,順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の問題点は、Native PAGE上では生成した酵素が複数のバンドに分れており、サブユニット数の異なる多量体として存在している可能性が示唆されている点である。多量体を形成している場合、タンパク質分子は高多分散性となり、結晶化が困難になる傾向があるため、動的光散乱法により精製酵素溶液中のタンパク質分子め単分散性を調べることを予定している。精製酵素が高多分散性ならば、タンパク質発現系を変えるなどの方法により、単分散性のタンパク質分子を得られるように検討する。
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