2011 Fiscal Year Annual Research Report
メタゲノム法による難培養海洋環境微生物からの新規生合成マシナリーの探索と物質生産
Publicly Offered Research
Project Area | Biosynthetic machinery: Deciphering and regulating the system for bioactive metabolite diversification |
Project/Area Number |
23108517
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤田 雅紀 北海道大学, 創成研究機構, 特任助教 (30505251)
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Keywords | メタゲノム / シデロフォア / 海洋天然物 |
Research Abstract |
有明海干潟砂泥、トカラ列島沖海底堆積物、天草諸島および四国沿岸の海洋無脊椎動物等から作成した海洋メタゲノムライブラリに対して、抗菌活性物質、金属結合物質、色素の生産の有無でスクリーニングを行ったところ、多くの活性クローンを見出した。 それらの解析を行ったところ、金属結合物質生産クローン2種からそれぞれvibrioferrinおよびbisucaberinを同定し、また新規生合成遺伝子を取得した。これらはそれぞれ査読月論文として報告した(文献1、2)。 特にbisucaberin生合成遺伝子はこれまでに知られている生合成遺伝子群と比較して、DNA配列およびORFの構成の新規生が高く、メタゲノム法によってこれまで培養されてこなかった微生物から遺伝子を取得したと考えられる。 また、bisucaberin生合成遺伝子クラスターのうち、生合成最終段階に関与すると考えられる環化酵素MbsDを、desferrioxamine Eの生合成に関与すると推測されている、Erwinia amylovora由来の生合成遺伝子DesDと入れ替えた融合クラスタークローンを作成した。生産物を解析したところdesferrioxamine Eのみが生産されており、遺伝子を入れ替える事で代謝経路を完全に変更する事ができ、また推定遺伝子であったDesDが実際にdesferrioxamine Eの生産に関与する事を明らかにした。 それ以外にも、青色蛍光色素生産クローンの解析を行ったところ、anthranilic acidの生産を確認した。またその生合成遺伝子クラスターを解析したところ、一般的なキヌレニンを中間体とする系路では無く、新規な代謝経路によるものである事が示唆され、現在解析を進めている。 さらに抗菌物質生産クローンを解析したところ、その活性本体は選択マーカーとして加えていたchloramphenicolである事が明らかになった。また、それはクローンが保有する加水分解酵素により、耐性遺伝子によりアセチル化されて一旦失活したchlorampenicolが再度活性化されている事を明らかにした。このような活性を有する酵素はこれまでに報告されておらず、やはり未培養微生物由来の遺伝子ある事が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的であった様々な活性を有するクローンをメタゲノムライブラリから取得し、それらを解析する事で新規性の高い遺伝子群を見出している。また、取得した情報を元に、生合成遺伝子クラスターを改変する事で、代謝経路の変更および未解析遺伝子の機能解明を達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
発光や酵素阻害など興味深い活性を示すが未だDNA配列あるいは翻訳産物の機能または生産物の解析が進んでいないクローンが多数あり、それらの解析を進めていく予定である。また取得した遺伝子を用いて不明な点が多く残る、酵素による大環状化合物の合成機構解明を目指し変異体の作成と生産物解析を進めていく計画である。
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