2011 Fiscal Year Annual Research Report
ATP生産能が高いポリリジン生産放線菌を宿主とした有用物質生産
Publicly Offered Research
Project Area | Biosynthetic machinery: Deciphering and regulating the system for bioactive metabolite diversification |
Project/Area Number |
23108520
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
濱野 吉十 公立大学法人 福井県立大学, 生物資源学部, 准教授 (50372834)
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Keywords | 2次代謝産物 / 生合成遺伝子 / 放線菌 / ATP / 発現系 / プロモーター / 物質生産 / ポリリジン |
Research Abstract |
本研究では、二次代謝産物の生合成遺伝子群の機能発現を行う斬新かつ挑戦的な戦略として、『ATP生産能が高いε-PL生産放線菌を宿主とした有用物質生産』を提案し、ε-PL合成酵素遺伝子(pls)のプロモーター(Ppls)を利用することでターゲット遺伝子を2次代謝特異的に発現させつつ、さらに、2次代謝特異的にATP細胞内プールが上昇するε-PL生産放線菌を利用することで高効率な物質生産を目的とする。H23年度の研究では、次ぎの2つの実験計画を行った。 研究項目1-(1)ε-PL生産放線菌S.albulus NBRC14147におけるATP生産蓄積メカニズムの解析 ε-PL生産放線菌S.albulus NBRC14147のpls遺伝子破壊株における細胞内のATP濃度についてメタボローム解析を行った。その結果、培養後期にATP細胞内濃度の顕著な向上が観察されたが、野生株と比較し差は認められなかった。よって、過剰なATPは即座に分解されることが示唆された。また、ATP細胞内濃度の向上に関連して、解糖系酵素、ペントースリン酸経路、核酸代謝経路の一部の代謝物について特徴的な細胞内濃度の向上が観察された。 研究項目1-(2)pls遺伝子プロモーター(Ppls)の機能解析 2次代謝特異的に機能するPplsは、異種放線菌S.lividansにおいても2次代謝特異的に機能することが示唆されていることから、放線菌に一般的に存在する2次代謝の制御系によってコントロールされていると考えられる。そこで本研究項目では、Pplsの制御系について、プロモータプローブアッセイ、プロモーター結合タンパク質の同定などを継続的に行っている。また、本プロモーターが実際に他の2次代謝産物の生合成遺伝子の機能発現に利用できるかについて検討したところ、抗生物質ストレプトスリシンの生合成遺伝子の一部について機能発現に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究事項1-(1)と1-(2)については研究計画通り進展しており、1一(2)の成功事例については、論文投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究項目1-(1)ε-PL生産線菌S.albulus NBRC14147におけるATP生産蓄積メカニズムの解析および研究項目1-(2)pls遺伝子プロモーター(Ppls)の機能解析について、現時点で研究計画の変更、問題点は生じていない。今後も計画通り研究を進めたいと考えている。
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Research Products
(3 results)