2011 Fiscal Year Annual Research Report
ステロイド類生合成修飾酵素を活用した有用物質生産系の構築
Publicly Offered Research
Project Area | Biosynthetic machinery: Deciphering and regulating the system for bioactive metabolite diversification |
Project/Area Number |
23108527
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
久城 哲夫 明治大学, 農学部, 准教授 (80373299)
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Keywords | ステロイド / 酸化酵素 / 生合成 / 糸状菌 / ヘルボール酸 |
Research Abstract |
ステロイドやトリテルペノイド化合物の骨格修飾に関与する酸化酵素群を数多く同定することは、有用物質生産へ向けた重要な生合成マシナリーツールを提供することにつながる。糸状菌Aspergillus fumigatusが生産するヘルボール酸は、プロトステロール骨格が高度に酸化修飾された構造を有しており、本生合成遺伝子クラスター内の酸化酵素群を機能解析することで骨格修飾に関与する酵素遺伝子を多数同定することが可能である。これまでに、クラスター内のシトクロムP450酸化酵素(P450)であるCYP5081Al、ならびにデヒドロゲナーゼ(AfuSDR)の機能解析に成功しており、各々プロトステロールの29位メチル基の酸化および3位水酸基の酸化を行っていることが判明している。 そこで、両酵素が同時に機能することで、ヘルボール酸へ向けたC29脱メチル化を触媒しているのではないかと予想された。CYP5081A1およびAfuSDRを、プロトスタジエノール合成酵素であるAfuOSCと共に共発現を行うべく、選択マーカーの異なる2種類の酵母発現ベクターpESCに各々導入し、3遺伝子共発現系を構築した。形質転換酵母を誘導培養の後、ヘキサン抽出画分のGC-MS解析を行ったところ、3遺伝子発現体にのみ特異的なピークが観測され、MSスペクトルより脱メチル化産物の分子量に相当するm/z 410のイオンが見られた。さらにフラグメントイオンを詳細に検討したところ、本化合物が脱メチル化産物であることが強く示唆された。 さらに、クラスター内の他のP450遺伝子の機能解析を行うべく、各々のクローニングと酵母発現ベクターへの導入を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
酵母での3遺伝子共発現系の構築により、脱メチル化体とみられる産物の検出に初めて成功することができたため、今後の他のP450遺伝子の共発現解析への展開が可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
クラスター内の他のP450遺伝子の機能解析を進めていく。その際、酵母での発現において活性の低下が懸念されるため、P450への電子伝達系のパートナーであるP450還元酵素遺伝子の取得と、共発現も行っていく。
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