2011 Fiscal Year Annual Research Report
側鎖置換基をもつアセン分子の空間を介した光物性変調とπ空間制御
Publicly Offered Research
Project Area | Emergence of highly elaborated pai-space and its function |
Project/Area Number |
23108720
|
Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
北村 千寿 兵庫県立大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (60295748)
|
Keywords | テトラセン / アルキル鎖 / 固体色 / 自己集合 / 分子配列 / 分子間相互作用 / X線結晶構造解析 / 多環式芳香族炭化水素 |
Research Abstract |
特定の位置にアルキル基が修飾されたテトラセン分子の固体状態の光物性と構造との相関関係を調べるために、2,3位にジアルキル基を有するテトラセンの詳細な調査を行った。1,4-アントラキノンと3,4-ジアルキルチオフェンジオキサイドとのDiels-Alder反応により、前駆体のテトラセンキノンを得た。テトラセンキノンからテトラセンへの変換において、THF-メタノール中水素化ホウ素ナトリウムを用いてヒドリド還元を行い続けて塩化スズ(II)塩酸溶液を続けて加えることにより、副生成物の発生なしに2,3-ジアルキルテトラセンが高収率で合成できることを見出した。ブチル体においてX線結晶構造解析に成功し、二つのブチル基はジグザグ平面を形成することおよび一つのブチル基はテトラセン平面と共平面であるがもう一つのブチル基はテトラセンと直交する配座をとることを見つけた。テトラセン部位はヘリンボンに似た二次元配列をとることもわかった。粉末X線回折測定からアルキル基が短いものは結晶性であるのに対し、アルキル基が長いものは非晶性部分が増えていくことが示唆された。時間分解マイクロ分光法から光伝導特性を調査した。アルキル基が長くなるにつれて電荷キャリヤ移動度の上昇が見られ、テトラセン部分の重なりが良い実験結果が得られた。このことからアルキル基が長くなるにつれてアルキル部位の乱れ構造が増えると予想されるがテトラセン部分の配列が良くなることが予想された。また、キャリヤ寿命に関してもアルキル鎖が長い方が寿命が長いことがわかり、アルキル鎖が長い方が構造の欠陥が少ないことが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の研究成果であるが、学会発表および論文が複数発表されているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
テトラセンの固体状態の光物性に対する置換基効果をの調査をさらに進めるため、アルキル置換体の追加、骨格の異なる拡張クリセン誘導体の合成について検討を行う。X線結晶構造解析が不可能な固体については粉末X線回折測定から分子配列に関する情報を取得するように努める。
|