2011 Fiscal Year Annual Research Report
スマネン骨格を有する三座配位子を活用したバルクおよび金属表面での高次π空間の創出
Publicly Offered Research
Project Area | Emergence of highly elaborated pai-space and its function |
Project/Area Number |
23108722
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Research Institution | International Christian University |
Principal Investigator |
小林 潤司 国際基督教大学, 教養学部, 准教授 (90334242)
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Keywords | トリフェニレン / ヘテロπ共役分子 / スマネン / スズ |
Research Abstract |
2,3,6,7,10,11-ヘキサブトキシトリフェニレンを出発原料として、トリヘテラスマネンの合成中間体であるヘキサリチオトリフェニレンの発生条件の検討を行った。テトラメチルエチレンジアミン存在下、過剰量の1rBuLiを作用させ、3時間加熱かくはんし、重水で反応を停止し、生成物の重水素化率からヘキサリチオトリフェニレンの発生率を求めた。その結果、8当量のn-BuLiを用いた場合が、最も効率よくヘキサリチオトリフェニレンが発生することを見いだした。n-BuLiの当量を増加させたところ、重水素化率は向上したものの、回収率が低下し、副成物の生成が示唆された。続いて、発生させたヘキサリチオトリフェニレンに過剰量のジブチルジクロロスズを反応させて、生成物の解析を行った。その結果、トリフェニレンの湾部の2箇所、および3箇所にそれぞれスズ原子が導入されたと思われる化合物が得られた。^1HNMRの結果、分子の対称性、芳香族プロトンの消失などから、トリフェニレンの3箇所の湾部にスズ原子が導入されたと推察した。現在得られた生成物の単離、構造決定を行っているところである。 また今回得られたトリスタンナスマネンに対し、大過剰のホウ素試剤を反応させて、トランスメタル化を進行させ、トリボラスマネンの合成を検討したが、トランスメタル化がうまく進行せず、目的物は得られなかった。これはホウ素原子を導入した場合、ホウ素炭素結合がスズ炭素結合に比べ著しく短いため、分子歪みが生じるためと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の目的通り、前駆体のヘキサリチオトリフェニレンの効率的な発生方法を確立することが出来たが、続くトランスメタル化の段階での反応性の低さのため、生成物が収率よく得られず、かつ副成物との分離精製が困難であり、生成物の解析に至るまでの量的供給に問題が生じているため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでのヘキサリチオトリフェニレン経由からのヘテロスマネン合成については、引き続き最適条件を探索していく予定であるが、それ以外にDiels-Alder反応を活用した、新たなヘテロスマネン合成法について検討していく予定である。
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