2011 Fiscal Year Annual Research Report
高次組織化π共役ポリマーナノチューブ複合体のキラルπ空間制御と機能開発
Publicly Offered Research
Project Area | Emergence of highly elaborated pai-space and its function |
Project/Area Number |
23108723
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
藤原 尚 近畿大学, 理工学部, 教授 (30190101)
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Keywords | π共役ポリマー / ポリマーナノチューブ / ポリチオフェン / 金属ナノ粒子 / 磁性ナノ粒子 / フラーレン |
Research Abstract |
本研究では、ポリチオフェンナノチューブ(PNT)に優れたレドックス応答能を有するC_<60>フラーレンを導入したハイブリッドナノチューブ、および金属ナノ粒子との複合体の合成と特性について明らかにした。C_<60>フラーレンを有するターチオフェン誘導体(TE-C_<60>)を合成し、細孔径約200nmのポーラスアルミナ膜をテンプレートに用いて、+1.03Vの定電位でTE-C_<60>の電解重合を行い、TE-C_<60>-PNTを合成した。その後、ポーラスアルミナ膜を水酸化ナトリウム水溶液で溶解し、得られたサンプルを走査型電子顕微鏡(SEM)および、透過型電子顕微鏡(TEM)により観察した。その結果、直径約200nm、膜厚約20nmのTE-C_<60>-PNTの生成を確認した。これにより、ナノチューブの構成ユニットにフラーレンを含んだハイブリッドナノチューブの合成に初めて成功した。フラーレン含有ハイブリッドナノチューブTE-C_<60>-PNTと、金属ナノ粒子との複合体を合成するため、電解重合能を有するターチオフェン誘導体で保護した金、および銀ナノ粒子(TTP-Au,TTP-Ag:粒子径はそれぞれ約3.0nm,2.4nmである)を合成した。続いて、TE-C_<60>とTTP-Au、TE-C_<60>とTTP-Agを用いてアルミナ膜をテンプレートとした電解共重合により、フラーレンと金属ナノ粒子との複合体(C_<60>-Au-PNT,C_<60>-Ag-PNT)を合成した。その後、アルミナ膜を除去し、得られたサンプルをSEM、TEM、および、エネルギー分散型X線分析(EDX)により観察した。その結果、TTP-Au,TTP-Agの構成元素に対応する元素であるAu,Agの存在を確認するとともに、チューブ全体に金、および銀ナノ粒子(TTP-Au,TTP-Ag)が凝集することなく分散している様子を観察することができた。さらに、これらハイブリッドナノチューブのラマンスペクトルを測定すると、金属ナノ粒子との複合体であるC_<60>-Au-PNT、およびC_<60>-Ag-PNTは、TE-C_<60>-PNTと比較して顕著な表面増強ラマン散乱を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度研究計画に示したπ共役ポリチオフェン-フラーレン複合ナノチューブを合成した。また、金属ナノ粒子-フラーレン-ポリチオフェンハイブリッドの合成にも成功し、これらハイブリッドナノチューブの金属ナノ粒子とπ電子との相互作用により誘起される蛍光増強および表面増強ラマン散乱について知見を得た。1次元ナノ構造体として、フラーレン・金属ナノ粒子・ポリチオフェンから構成されるナノチューブは初めての例である。
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Strategy for Future Research Activity |
金属ナノ粒子-フラーレン-ポリチオフェンハイブリッドナノチューブにおける金属ナノ粒子とπ電子との相互作用により誘起される蛍光増強および表面増強ラマン散乱について、より詳細な発現機構を明確にするとともに、π共役ポリチオフェンハイブリッドナノチューブナノ空間での不斉認識について検討する。また、ポリチオフェンナノチューブの中空内部でのピーポッドを形成し、それらの構造について、透過型電子顕微鏡を用いて明らかにするとともに、新規光触媒系を開発する。
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Research Products
(10 results)