2012 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト脳神経疾患を惹起するシナプス関連分子異常探索
Publicly Offered Research
Project Area | Generation of synapse-neurocircuit pathology |
Project/Area Number |
23110513
|
Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
松本 直通 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (80325638)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2013-03-31
|
Keywords | シナプス関連分子 / 遺伝子変異 / 次世代シーケンス / てんかん |
Research Abstract |
KCNQ2は電位依存性カリウムチャネルのKv7.2サブユニットをコードしており、その変異が予後良好の良性家族性新生児痙攣(benign familial neonatal convulsion : BFNS)を引き起こすことが知られていた。しかし、2012年に入り、最重症の難治性のてんかんである太田原症候群(Ohtahara syndrome : OS)を含めた新生児てんかん性脳症を引き起こすことが明らかとなった。今回我々は、新生児期から乳児期にかけて発症したてんかん患者239例【OS51例、West症候群(WS)104例、その他のてんかん患者84例】について、KCNQ2変異のスクリーニングを行った。 Hight resolution melting法による変異スクリーニング、あるいはWhole exome sequencingにより、10種類のミスセンス変異を12症例に同定した。9症例はOSの診断であり、1症例がWS、2症例が分類不能のてんかん性脳症であった。11症例ではde novo変異であることが確認でき、1症例では新生児てんかんの既往を有する母親がmosaicで変異を有していた。初発の痙攣発作は強直痙攣がほとんどであり、12症例全てで新生児期に発作を認めた。太田原症候群の特徴である、サプレッション-バーストパターンの脳波は、類似例も含めると11症例で認めた。OSの約75%はWSに移行することが知られているが、2症例のみがWSへの移行を認めた(2/9,22%)。10症例では抗てんかん薬によってけいれんのコントロールが可能であったが、3カ月で死亡した例を除いて全例で重度の知的障害を認めた。2つのミスセンス変異(p. Ala294Val, p. Arg533Trp)がBFNSで報告のあるアミノ酸の変異であり、BFNS症例と比較してミスセンス変異の局在に明らかな差異は認めなかった。
|