2011 Fiscal Year Annual Research Report
シスタチンFを介するミクログリア-オリゴデンドロサイトクロストークと脱髄性疾患
Publicly Offered Research
Project Area | Generation of synapse-neurocircuit pathology |
Project/Area Number |
23110521
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
池中 一裕 生理学研究所, 分子生理研究系, 教授 (00144527)
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Keywords | 脱髄疾患 / シスタチンF / カテプシンC / ミクログリア / サイトカイン |
Research Abstract |
平成23年度はノックアウトマウスを用いた脱髄誘導実験と、過剰発現マウスの樹立を行った。シスタチンFSTOP-tetOホモマウス(シスタチンF ノックアウト)とカテプシンC STOP-tetOホモマウス(カテプシンCノックアウト)、野生型マウスの3群を用いて脱髄モデルを作製し、それぞれのノックアウトが及ぼす効果を検討した。まず、これら3群のマウスを用いてMOGペプチド[35-55]を免疫することによりMOG EAEモデルを作製した。その結果、臨床症状観察においてシスタチンFノックアウトマウスでは野生型マウスの症状よりも悪い症状が見られた。また、脱髄の程度をミエリン蛋白質の染色(PLPとLFB)によって調べ、脱髄のレベルが野生型マウスに比べてシスタチンFノックアウトマウスのほうが悪いということもわかった。これらのことから、シスタチンFは脱髄巣形成に抗う作用をもっていると考えられる。その機能の1つに炎症性サイトカイン産生の抑制がある。また、カテプシンCノックアウトマウスでは症状がばらつくという結果を得ており、MOG EAEモデルにおける機能は未確定である。しかし、カテプシンCノックダウンマウスにPLPtgアリールを導入し遺伝性脱髄疾患モデルを作製したところ、6ヶ月齢の慢性脱髄巣形成開始期でPLPtgマウスよりも症状が軽度であるというプレリミナリーなデータを得た。 過剰発現マウスを作製するにあたり、STOP-tetOマウスとミクログリア特異的にtTA(テトラサイクリントランスアクチベーター)を発現するマウスIbaltTAを交配させ、ミクログリア特異的過剰発現マウスをシスタチンF、カテプシンCの両方で得た後、シスタチンFの過剰発現では細胞毒性がでることを確認し、カテプシンCでは過剰発現マウスの脳を用いて酵素活性があることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたマウスの作製は順調に進み、脱髄の解析も当初予定より進行している。しかし、シスタチンF過剰発現マウスの交配がうまく行かず苦労している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定の通り、脱髄モデルに種々の遺伝子改変マウスを適用して解析を進める。
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