2011 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内異常タンパク質と回路選択的神経変性
Publicly Offered Research
Project Area | Generation of synapse-neurocircuit pathology |
Project/Area Number |
23110526
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
長谷川 成人 財団法人東京都医学総合研究所, 認知症・高次脳機能研究分野, 参事研究員 (10251232)
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Keywords | タウ / αシヌクレイン / TDP-43 / 伝播 |
Research Abstract |
アルツハイマー病に蓄積するタウ、レビー病小体病に蓄積するαシヌクレイン、筋萎縮性側索硬化症(ALS)および前頭側頭葉変性症(FTLD)などに蓄積するTDP-43など、多くの神経変性疾患には細胞内に特定の異常蛋白質の蓄積病変が認められ、神経変性との強い関連が指摘されている。これまでの研究結果からこれらの異常蛋白質は、ある細胞で生じたものが、その特殊な構造からシナプスなどを介して細胞間を移動し、細胞から細胞へと伝播して広がり、系統的、回路選択的な神経変性が徐々に進行する可能性が考えられる。TDP-43蓄積を伴うFTLDは、神経病理学的分類によりType AからType Dに分類され、臨床病型との関連性が認められる。そこで多数例のALSおよびFTLD-TDP検体に蓄積するTDP-43の生化学解析を行い、病理分類との関係を検討した。その結果、ALS、FTLD-TDP全例において、45 kDaの全長リン酸化TDP-43に相当するバンド、レーン全体がスメア状に染まる反応に加え、18~26 kDaのC末断片のバンドが認められ、そのC末断片のバンドパターンは病型ごとに異なっていた。さらに不溶性画分をトリプシン、キモトリプシン処理を行い、プロテアーゼ耐性TDP-43を比較したところ、より明確に分類が可能となった。一人のALS、FTLD患者について、様々な部位に蓄積するTDP-43を比較した結果、部位や蓄積細胞に関係なく同じバンドパターンが示された。以上の結果はTDP-43が様々な異常構造、重合状態をとって細胞内に蓄積しうるが、その構造が疾患によって異なること、一人の患者においては同じ異常構造をとったTDP-43が蓄積することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多数例の解析を行ったが予想通りの結果が得られ、論文にまとめて投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
レビー小体型認知症(DLB)、多系統萎縮症(MSA)の患者脳に蓄積するαシヌクレインについて、様々な脳部位から不溶性画分を調製し、αシヌクレインの各部位に対する抗体でイムノブロット解析を行うことでそのバンドパターンに違いがあるかどうかを検討する。またバンドパターンの違いが蓄積している異常αシヌクレインのコンフォメーションの違いによる可能性を検討するため、不溶性画分をプロテアーゼ処理し、プロテアーゼ耐性バンドに違いがあるかどうかを比較する。
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