2011 Fiscal Year Annual Research Report
母体の食変化と子の脳機能発達に関する病態神経科学研究
Publicly Offered Research
Project Area | Generation of synapse-neurocircuit pathology |
Project/Area Number |
23110527
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
和田 圭司 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所・疾病研究第4部, 部長 (70250222)
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Keywords | 母体 / 栄養 / 脳機能発達 / マウス / 機能形態学 / 酸化ストレス / スパイン / 顕微鏡 |
Research Abstract |
母体の高脂肪食摂餌の産仔への影響のシナプス病態を評価するため,神経細胞の発達期における酸化ストレスが,その後の神経細胞,特に樹状突起スパインの成熟過程にどのような影響を及ぼすか調べた.高脂肪食摂餌母体の産仔の脳に蓄積する酸化脂質であるマロンジアルデヒド(MDA)を,成熟した海馬初代培養細胞に作用させたところ,濃度依存的にスパイン数と頭部直径が減少した.次に,培養直後および発達期の神経細胞に一過的にMDAを作用させ,その後通常の培地で培養を行い,成熟後の樹状突起スパインを解析することで,発達期の酸化ストレスの可逆性を検討した.その結果,初代培養神経細胞の発達過程における一過性の酸化ストレスの作用は持続的であり,非可逆的にスパイン形態の異常を引き起こすことが明らかになった.このことから,母体の高脂肪食摂餌による胎仔への影響の中には,特に,シナプスを中心として非可逆的な要素も存在することが見込まれる.現在,高脂肪食を施した母体より産仔が得られつつあるので,今後これらの個体におけるスパインへの影響についても解析を行う予定である. 内的要因の解析についても検討を開始し、酸化ストレスとの関連性を見いだした脱ユビキチン化酵素UCH-L1につき、その発現量がシナプスの機能形態に及ぼす影響の解析を進めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
母体の高脂肪食摂取期間と産仔の脳機能形態学的変化の相関性解析が実施され、産仔脳機能形態変化の臨界期の同定についても、予備結果が得られた。仔の行動変化を誘導する脳機能形態学的分子基盤と神経回路学的基盤の同定についても、2光子レーザー顕微鏡を用いた解析技術が確立し、進展が認められた。
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Strategy for Future Research Activity |
高脂肪食摂餌母体の産仔の海馬における週齢依存的なスパインの変化を,ex vivo,in vivoの両面から評価し,産仔のシナプスの発達過程に及ぼす影響について解析を行う.さらに、外的要因の他、内的要因についてもその関与を解析することで、食を初めとする様々な環境が行動変化として現れるまでの一連の分子機序を解明する。
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Research Products
(8 results)