2012 Fiscal Year Annual Research Report
ダイマーモット型分子性導体に内在する特異な電荷自由度の研究
Publicly Offered Research
Project Area | New Frontier in Materials Science Opened by Molecular Degrees of Freedom |
Project/Area Number |
23110702
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐々木 孝彦 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (20241565)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 強相関電子系 / モット絶縁体 / 分子性導体 / 強誘電 / 赤外光学スペクトル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、分子性ダイマーモット絶縁体における分子ダイマー内の電荷自由度に起因する電荷ダイポール生成とその揺らぎによるグラス状態また秩序化により発現する電子的な誘電特性を解明することである。平成24年度は、1) k型分子配列構造をとるBEDT-TTF分子系三角格子ダイマーモット絶縁体の赤外光学スペクトル測定による特異な電荷励起モードの観測と電荷-スピン液体状態の相関、2) 四角格子ダイマーモット絶縁体物質での新奇な誘電応答と電場誘起分極状態の観測、3) 分子性電荷秩序絶縁体での電荷グラス状態における光学応答の研究を行った。以下、1)、2)についてその成果を記す。 1)k-(BEDT-TTF)2Cu2(CN)3は、量子スピン液体物質として研究されてきたが、赤外光学スペクトルに電荷ギャップが開かないことから、スピンと共に電荷自由度も残留していることが分かった。この原因として0.1ev付近に電荷応答による励起モードがあること分かった。このモードはその温度依存性から、ダイマー内電荷自由度による分極状態の生成と強く相関し、この残留する自由度がスピンの液体状態の起源である可能性を提案した。 2)(BEDT-TTF)2ICl2は、22Kで反強磁性秩序を示す四角格子系ダイマーモット絶縁体であるが、より高温の60-100Kでダイマー内電荷自由度に起因すると考えられる誘電異常を示し、60K以下では電場誘起による静的に強誘電的な分極状態を示すことを明らかにした。この電場誘起強誘電状態は、反強磁性秩序と強く相関していることを明らかにし、電荷とスピンの複合した自由度の結合が重要であることを明らかにした。 以上のように、本研究により、分子ダイマー内の電荷-スピン自由度の相互結合に起因する新奇な誘電応答とスピン状態についての重要な知見が得られた。
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Research Progress Status |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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