2012 Fiscal Year Annual Research Report
2種類の分子配列層をもつ新型有機超伝導体における超伝導発現機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | New Frontier in Materials Science Opened by Molecular Degrees of Freedom |
Project/Area Number |
23110709
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
川本 正 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (60323789)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2013-03-31
|
Keywords | 有機超伝導体 / 結晶構造 / 電荷秩序 / フェルミ面 / 有効質量 |
Outline of Annual Research Achievements |
1994年に米国アルゴンヌ国立研究所のメンバーによって開発された(BEDT-TTF)2Ag(CF3)4(TCE)には、超伝導転移温度(Tc)が2 K級の物質と10 K級の物質が存在することが報告されていた。低Tc相の構造は通常のkappa型分子配列(分子が井桁状に配列)であることが報告されているが、高Tc相の結晶構造は明らかにされていなかった。我々はAg(CF3)4塩の高Tc相の結晶構造を明らかにし、高Tc相には2つの相(Tc = 9.5 Kと11 K)があることを確定させた。どちらの相も2種類のドナー分子配列層(kappa型とalpha'型(分子が捩じれながら積層))があり、alpha'層が電荷秩序状態にあることをドナー分子の結合距離から明らかにした。結晶学的に独立なドナー層が2つあることから、超伝導を担うと考えられるkappa層のバンド充填率(ドナーからアニオンへの電荷移動量)が通常の1/2であるか否かは一義的に決まらない。このことは電荷秩序と考えられるalpha'層のバンド充填率にも直結する。結合距離からの見積は誤差がやや大きいことから、まずTc = 11 Kの相(kappa-alpha'2相)の量子振動の測定によりバンド充填率を決めることを試みた。kappa層のフェルミ面が明瞭に観測され、フェルミ面の断面積からバンド充填率は他のkappa型(BEDT-TTF)2X超伝導体と同じ1/2であることが明らかになった。また、量子振動から得られた有効サイクロトロン質量は裸のバンド質量よりも大きく、二つの質量の比が大きい物質ほどTcが高い傾向があることを見出した。
|
Research Progress Status |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|