2012 Fiscal Year Annual Research Report
金属錯体系電荷移動錯体における価数転移・磁気転換
Publicly Offered Research
Project Area | New Frontier in Materials Science Opened by Molecular Degrees of Freedom |
Project/Area Number |
23110719
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
持田 智行 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (30280580)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 相転移 / 電荷移動錯体 / 磁性 |
Outline of Annual Research Achievements |
電荷移動錯体は多様な相転移現象の舞台として有用である。これらの物性研究に新展開を拓くため、本課題では、種々の金属錯体系電荷移動錯体の開発を行ってきた。昨年度、代表的な電荷移動塩である金属TCNQ塩がヨウ素吸蔵能を持つことを見出したため、本年度はその詳細な検討を行った。これらは物質吸脱着に伴う物性転換の観点からも興味が持たれる現象である。 本年度は第一に、アルカリTCNQ塩のヨウ素吸脱着能を検討した。アルカリTCNQ塩はヨウ素を吸収し、3成分系の塩を形成した。この反応は、ヨウ素との直接混合摩砕、もしくはヨウ素の蒸気・溶液との反応のいずれでも進行した。ヨウ素吸蔵に伴って室温電導度は4 桁向上し、非磁性から常磁性に転換した。これらの塩は加熱によりヨウ素を放出してアルカリTCNQ塩を再生した。ヨウ素吸蔵体は、アルカリヨウ化物とTCNQの固相反応でも得られた。 第二に、銅TCNQ塩のヨウ素吸脱着能を検討した。この塩もヨウ素吸蔵能を示し、結晶多形によってヨウ素吸収能に顕著な違いがあることを見出した。生成したヨウ素吸蔵体は非晶質であるが、加熱によってヨウ素を脱離し、元の結晶多形の銅TCNQ塩を再生した。さらに、銅TCNQ塩とアルカリTCNQ塩のヨウ素吸蔵機構が異なることを明らかにした。銅TCNQ塩では吸蔵されたヨウ素の一部がCuに配位してTCNQが中性となるため、アルカリTCNQ塩とは逆に、吸蔵後は電導性が低下した。金属粉末あるいは金属塩とTCNQの固相反応による錯体合成も行った。 以上に加えて、ビオロゲン系カチオンと金属ジチオレン系アニオンを組み合わせた錯体の合成を継続した。一価塩と二価塩の相境界に位置する錯体合成を試みたところ、従来の結晶とは異なる積層様式を持つ錯体が得られた。また、磁性配位子を有する金属錯体を合成し、構造・物性の評価を行った。
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Research Progress Status |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)