2012 Fiscal Year Annual Research Report
巨大負磁気抵抗を発現するフタロシアニン系に基づいた磁場応答分子性強誘電体の構築
Publicly Offered Research
Project Area | New Frontier in Materials Science Opened by Molecular Degrees of Freedom |
Project/Area Number |
23110720
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
松田 真生 熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (80376649)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | フタロシアニン / 電荷移動錯体 / 分子性導電体 / 分子性誘電体 |
Outline of Annual Research Achievements |
代表者は大環状配位子であるフタロシアニンの鉄錯体に軸配位子が導入された分子ユニットからなる電荷移動錯体において、巨大負磁気抵抗効果の発現に成功している。その発現には、大きな分子内π-d相互作用と高対称性配位子場による縮退d軌道に加え、一次元電子系を構築するフタロシアニンπ電子の電荷不均化状態が深く関与していることが近年の実験・理論研究の両面から示唆されている。本申請では、電荷不均化するπ電子と軌道縮退したd電子を同時に保有する鉄フタロシアニン系について、分子設計の自由度を最大限に利用し、高対称性配位子場と強いπ-d相互作用を維持しつつ、分子間の二量化を誘起するような分子デザインを施すことにより、磁場応答強誘電特性という新しい電子機能を創出することを目指しつつ、フタロシアニン系電荷移動錯体の素子への適用にも取り組んだ。フタロシアニン配位子への分子修飾が分子間相互作用に大きな影響を及ぼすことについては23年度実施の研究で明らかにしている。そこでフタロシアニン環へ非対称な分子修飾を施す試みを多方面から行なったところ、電荷移動錯体の作製には至らなかったものの目的に近い分子の合成には成功していることを確認できた。また、軸は愛氏を非対称にした電荷移動錯体において、従来の系では観測されない誘電緩和を示すデータを得ることに成功した。これは本研究目的への分子設計が適切に行なわれたことを示すものである。一方、軸配位フタロシアニン系電荷移動錯体の素子適用については、透明電極上に微小結晶を作製しn型半導体と接触させることで、フタロシアニンに由来する光応答電流の発生を確認することに成功した。バルク結晶においてはこのような応答は観測できておらず、本研究で新たに試みた手法が新規物性探索・素子利用への有効な手法となりうることを示している。
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Research Progress Status |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(6 results)