2012 Fiscal Year Annual Research Report
有機ラジカル結晶における分子自由度と磁気相転移
Publicly Offered Research
Project Area | New Frontier in Materials Science Opened by Molecular Degrees of Freedom |
Project/Area Number |
23110721
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
藤田 渉 首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (50292719)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 有機ラジカル / 分子磁性 / 磁気相転移 / 結晶構造 / ジチオレン錯体 |
Outline of Annual Research Achievements |
有機ラジカル BDTA(=1,3,2-benzodithiazolyl)は TCNQ や金属ジチ オレン錯体と組み合わせることで興味深い磁気物性・伝導物性を有 する電荷移動錯体を形成することが報告されている。本研究では、有機カチオン BDTA+とフェロシアン化イオン [Fe(CN)6](4-)から成る電荷移動錯体、(BDTA)2(H3O)2[FeII(CN)6](1)の構 造解析と物性評価を行った。化合物 1 はフェロシアン化ナトリウムと BDTA・Cl を含 む水溶液を自然蒸発させることで黒緑色結晶を得られた。 原料の水溶液は共に黄色であったが、混合すると深緑色 (λmax=700 nm )になり、電荷移動相互作用が働いていると考えら れる。1 の結晶内では、H3O+がシアノ基との 水素結合を介して 3 つの Fe シアノ錯体を架橋しており、 BDTA 分 子は錯体間の隙間に位置していた。また、BDTA の S 原子 とシアノ基の間で分子間接触が見られた。BDTA+および [Fe(CN)6]4-は共に閉殻であるため、2 K―350 K までは反磁 性を示したがそれ以上の温度で χpT 値は上昇し常磁性を 示した。χpT の最大値は昇温速度やアニール温度・時間に 依存した。これは低温ではシアノ基の配位子場により低 スピン状態であった FeIIにおいて、一部分で LS→HS 転 移が起きているためであると考えられる。また転移後に 温度を下げたところ、反磁性相へ戻ることなく常磁性を 保ち続けた。1 について TG 測定を行ったところ 350 K 付 近で水分子に相当する重量減少が確認できた。 この他、環状チアジルラジカルカチオンと金錯体による新しい伝導体、環状チアジルラジカル部位を持つ新しいジチオレン錯体、および二次元正方格子磁性体における磁気相転移に関する研究を展開した。
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Research Progress Status |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] Preparation, Crystal Structure, and Magnetic Properties of New Dithiolene Ligand, 1,3,2-Dithiazole-4-thione-thiolate, and its Metal Complexes.2013
Author(s)
T. Nakamura, K. Sasamori, K. Kodama, K. Kikuchi, W. Fujita
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Journal Title
Chemistry An Asian Journal
Volume: 8
Pages: 348-350
DOI
Peer Reviewed
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