2012 Fiscal Year Annual Research Report
フラストレーションで抑制された強誘電性電荷整列の分子自由度操作による秩序化制御
Publicly Offered Research
Project Area | New Frontier in Materials Science Opened by Molecular Degrees of Freedom |
Project/Area Number |
23110725
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
山本 薫 分子科学研究所, 物質分子科学研究領域, 助教 (90321603)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 有機伝導体 / 分子性固体 / 強相関電子系 / 強誘電体 / 電子強誘電 / フラストレーション / 非線形光学 |
Outline of Annual Research Achievements |
擬一次元有機伝導体(TMTTF)2Xの一部は電荷秩序と考えられる局在化転移を示す。この転移が強誘電性転移である可能性が提案され注目されていたが,長い間その検証はなされていなかった。我々は,液化アルゴンを充填して用いるサファイアアンビルセルを作製し,単結晶試料に機械的ひずみを加えることなく冷却を行うことで,3つの塩(X = AsF6,PF6, SbF6)の顕微SHG測定をヘリウム温度近傍まで行った。その結果,3つの塩それぞれが電荷秩序転移点以下の温度でSHG活性を示すことを確認し,これらの電荷秩序が強誘電性転移であることを確認した。これらの3塩は同形結晶でありながら,AsF6およびPF6の2つの塩はスピンパイエルス転移と考えられる非磁性転移を示すのに対し,SbF6塩は低温で反強磁性転移するとされている。TMTTF塩を念頭としたモデル計算により,これらの塩における反強磁性スピン秩序は電気分極を発現する電荷配列と協奏的に結合している可能性が指摘されており,SbF6塩ではマルチフェロイック効果による電気分極の増大の観測も期待される。このような磁性と電荷秩序の関係に注目するために, AsF6塩とSbF6塩の2塩のSHG強度を同条件で測定し比較したところ,後者の塩で期待していた磁気秩序と電気分極の結合効果は実験精度の範囲内では確認できなかった。一方,AsF6塩では,非磁性転移付近の温度以下で自発分極の抑制を示唆するSHG信号の減少が確認された。この変化は,スピンパイエルス転移によって電荷が再配列するとしている理論的予測を支持している。
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Research Progress Status |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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[Journal Article] Charge-order driven proton arrangement in a hydrogen-bonded charge-transfer complex based on a pyridyl-substituted TTF derivative2012
Author(s)
Lee, S. C.; Ueda, A.; Kamo, H.; Takahashi, K.; Uruichi, M.; Yamamoto, K.; Yakushi, K.; Nakao, A.; Kumai, R.; Kobayashi, R.; Nakao, H.; Murakami, Y.; Mori, H.
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Journal Title
CHEMICAL COMMUNICATIONS
Volume: 48
Pages: 8673-8675
DOI
Peer Reviewed
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