2011 Fiscal Year Annual Research Report
「磁場」を感知するバクテリアの磁気オルガネラを支える細胞骨格
Publicly Offered Research
Project Area | Cross-talk between moving cells and microenvironment as a basis of emerging order in multicellular systems |
Project/Area Number |
23111508
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
田岡 東 金沢大学, 自然システム学系, 助教 (20401888)
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Keywords | 磁性 / 細菌 / 微生物 / 細胞骨格 / オルガネラ / 磁性細菌 |
Research Abstract |
(1)FtsZ-like蛋白質を大腸菌より精製し、精製標品を抗原として抗体を作成した。これにより、磁性細菌の細胞骨格蛋白質の生化学的研究準備が完了した(MamKの精製、抗体作製は完了済み)。(2)MamKの重合特性を位相差顕微鏡観察および光散乱法により解析した。その結果、最適な重合条件は8mM Mg^<2+>、5mM K^+、100mM Na^+を含む緩衝液中であること、臨界濃度は約0.1μMであることを明らかにした。また、上記条件をもとにMamKの再構成系を作製した。予備実験として、MamKとの相互作用が知られているMamJ蛋白質を大腸菌で発現、精製し、再構成系に添加した。その結果、MamJの添加によりMamKの重合活性が変化することを明らかにした。今後、この活性変化のメカニズムについて詳細を検討する。(3)形成されたMamK繊維を原子間力顕微鏡で観察したが、基板への接着が困難で観察できなかった。そこで透過型電子顕微鏡により繊維の形状を観察した。(4)MamKおよびFtsZ-like蛋白質と磁性細菌細胞内で相互作用する蛋白質を網羅的に同定するため、Bacterial two hybrid法によるスクリーニング系の構築を行った。(5)新規の走磁性の評価法としてMagnetic swarming法を開発した。本法では従来法では検出できなかったmamK欠損株の表現型が確認できた。このことから、本法が走磁性の表現型解析に有効であることが示された。(6)高速原子間力顕微鏡を用いて、生細胞表面の分子動態を観察した。その結果、磁性細菌の外膜表面は、ネット状の分子構造で覆われていることを発見した。さらに、この構造は細胞表面をゆっくりと拡散していること明らかにし、ポーリン分子で構成されていることが示唆された。本法は、生細胞における分子イメージングに有用であり、その成果を論文投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した「研究の目的」のうち、「MamK、FtsZ-likeのタンパク質調製」、「細胞骨格の重合条件」、「重合特性の解析」、「細胞骨格繊維の構造解析」がおおむね完了した。「細胞骨格と相互作用するタンパク質の同定」が計画より遅れているが、その一方で、平成24年度実施予定であった「in vitro再構成系の構築」が先行している。総合的に判断して、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)昨年度に引き続き細胞骨格蛋白質と相互作用する蛋白質のスクリーニングを続行する。本年度は、特にpulldown法、免疫沈降法を用いて、昨年度は試みなかったin vitroから同定を試みる。(2)昨年度、MamK細胞骨格のin vitro再構成系を確立した。今後は、MamK結合蛋白質であるMamJのMamK重合反応への作用を再構成系を用いて詳細に調べ、MamJの機能解明を行う。また、再構成系へ精製マグネトソームや(1)で同定した相互作用蛋白質を添加し、細胞骨格-マグネトソームの再構成系を作製する。(3)磁性細菌における蛍光蛋白質発現系を用い、細胞分裂時や、磁界中でのMamK細胞骨格の細胞内動態を観察する。
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