2011 Fiscal Year Annual Research Report
コオロギのダイナミックな細胞移動を伴った胚形成に関与する細胞動態制御機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Cross-talk between moving cells and microenvironment as a basis of emerging order in multicellular systems |
Project/Area Number |
23111521
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
中村 太郎 徳島大学, 産学官連携推進部, 講師 (80548834)
|
Keywords | 細胞動態制御 / トランスクリプトーム / ライブイメージング解析 / コオロギ / TALEN |
Research Abstract |
コオロギ初期胚形成過程における特徴的な細胞の挙動に着目して「個々の細胞の動きと胚形成」に関わる遺伝子群の働きを明らかにし、新規の細胞動態制御機構を解明する。本年度は、1、ダイナミックな細胞動態が観察される時期由来のcDNAライブラリーを構築し、2、それを用いたトランスクリプトーム解析を行い、3、各発生段階で発現量の異なる遺伝子を探索した。さらに、微小管に結合するGFPを発現するトランスジェニックコオロギを作成し、細胞移動の際に見られる詳細な細胞骨格や形態を観察した。その結果、コオロギにおいて将来胚を形成する領域と胚体外領域を形成する領域に含まれる細胞群で、細胞移動が行われる際にその形態が大きく変化している行ことが分かった。特に、胚を形成する領域に含まれる細胞では、移動が開始される際にその形態が仮足様構造を有していた。また、細胞移動に先立って、胚体外領域を形成する細胞では細胞分裂が停止していた。これらのことは、コオロギの領域に応じた細胞移動は、細胞周期と密接に関わっている可能性を示唆する。次に、候補遺伝子の一つであるWntシグナル経路を構成するaxin1についてRNAi法とライブイメージング解析を組み合わせて細胞動態にいかに関与しているか調べた。その結果、卵の腹側に細胞が集まりコオロギ胚を形成する際の移動が前方にシフトし、大きな胚が形成されることが分かった。さらに、より詳細に機能解析を行うために、TALEN法を用いた遺伝子ターゲッティング法を確立した。その技術を利用していくつかの遺伝子においてノックアウトコオロギを樹立できた。この技術は、モデルでない動物においても容易で、簡便に遺伝子改変が行えるために非常に有用な解析ツールとなる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、各発生段階での遺伝子の発現量の比較により、候補遺伝子を取得できた。さらに、RNAiとRNAi法とライブイメージング解析を組み合わせて細胞動態のより詳細な解析を行うことができた。また、解析ツールとして、新たなトランスジェニックコオロギを作成し解析に利用した。そして、新規の遺伝子改変技術であるTALEN法塗コオロギに応用できたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
各発生段階での遺伝子の発現量の比較により、候補遺伝子についてさらなる解析を行う。具体的には、in situ hybridization法などにより発現部位を特定し、RNAi-ライブイメージング法を用いてより詳細に細胞動態を解析する。その際、昨年度設定した細胞移動距離、時間、速度、方向、細胞移動の追跡による系譜などのパラメーターを利用し定量的な解析を行う。また、TALEN法を用いてノックインコオロギを作成しより詳細な解析を行う。そして、上記の解析を行うことで得られた実験結果を統合し、胚発生過程における新規の細胞動態制御機構についてのモデルを構築する。
|
Research Products
(19 results)